中国の製造業で景気回復のペースダウンが鮮明になってきた。4月1日に発表された2021年3月の財新中国製造業購買担当者指数(製造業PMI)は50.6と、前月(50.9)より0.3ポイント低下。直近のピークの2020年11月(54.9)から4カ月連続で下がり、2020年5月以降の最低値となった。
なお、前日に発表された中国国家統計局の調査に基づく製造業PMIは51.9と、2月(50.6)より1.3ポイント上昇した。2つのPMIの相反した動きは、調査対象などによって景況感に濃淡がある可能性を示唆する。
製造業の需要と供給は引き続き拡大しているが、そのペースは4カ月連続で低下し、3月の生産指数は11カ月ぶりの低水準を記録した。
そんななか、相対的に明るい材料となったのが外需の回復だ。3月の新規輸出受注指数は2021年に入って初めて拡大基調圏に浮上した。調査対象企業からは、「海外での新型コロナウイルスの流行が幾分落ち着くとともに、外需がはっきり増加している」との声が寄せられた。
高まる原材料のインフレ圧力
景気回復のペースダウンは、製造業の雇用に冷水を浴びせている。3月の雇用指数は4カ月連続の縮小基調となった。調査対象企業の間では「自己都合退職による欠員の補充を積極的に行うモチベーションが薄れている」との声が聞かれた。
一方、工業用金属や原油など原材料のインフレ圧力はさらに高まっている。3月の製造業購買価格指数は2017年12月以来の高水準に上昇した。それに押し上げられる形で、工場出荷価格指数も2016年12月以来の高水準を記録。一部の調査対象企業は「価格の上昇が需要回復の勢いを弱めている」と回答した。
それでも、製造業の経営者は今後の景気についておおむね楽観している。向こう12カ月間の楽観度を示す指数は、3月は2月に比べて幾分低下したものの、依然として過去7年間の最高水準にある。新型コロナが収束した後の世界経済回復への強い期待感が、それを支えている。
(財新記者:程思煒)
※原文の配信は4月1日
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