国際特許の出願件数、中国が2年連続で世界首位 企業別の1位はファーウェイ。BOE、OPPOも上位に

✎ 1〜 ✎ 428 ✎ 429 ✎ 430 ✎ 最新
拡大
縮小
中国は国際特許の出願件数で2019年にアメリカを抜き、世界トップに躍り出た。写真は世界知的所有権機関(WIPO)の中国語版ウェブサイト。

世界知的所有権機関(WIPO)は3月2日、特許協力条約(PCT)の枠組みに基づく国際特許の2020年の出願件数を発表した。同年の全世界の出願件数は27万5900件と、新型コロナウイルスの世界的大流行にもかかわらず前年比4%増加し、過去最高を更新した。

国別のランキングでは、中国が前年比16%増の6万8720件を出願し、2年連続で首位の座をキープした。2位のアメリカは前年比3%増の5万9230件。3位は日本、4位は韓国、5位はドイツの順だった。

スイスのジュネーブに本部を置くWIPOは国際連合の専門機関で、PCTには150カ国以上が加盟している。その枠組みにより、発明者は1つの加盟国に国際特許を出願することで、多数の国で同時に発明の特許保護を求めることができる。WIPOが発表する毎年の出願件数は、国家や企業のイノベーション能力を示す重要な指標と見なされている。

WIPOの統計によれば、国際特許の出願件数は1978年にPCTが発効してからずっとアメリカが首位の座を守っていた。しかし2019年、中国がアメリカに1150件の差をつけて初めて逆転。2020年の出願件数では両国の差は9490件に拡がった。

TikTokのバイトダンスが大躍進

一方、企業別のランキングでは上位10社のうち8社を中国、韓国、日本という東アジアの3カ国の企業が占めた。首位は中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)で、前年比23.87%増の5464件。2位は韓国のサムスン電子、3位は日本の三菱電機だった。

ファーウェイ以外の中国企業では、ディスプレーパネル大手の京東方科技集団(BOE)が7位、スマートフォン大手のOPPO(オッポ)が8位に食い込んだ。上位10社のなかで欧米企業は2社にとどまり、アメリカの半導体設計大手のクアルコムが5位、スウェーデンの通信機器大手のエリクソンが6位だった。

本記事は「財新」の提供記事です

なお、WIPOが開催した説明会で、WIPOの首席エコノミストを務めるカーステン・フィンク氏がわざわざ言及した中国企業がある。ショート動画アプリ「TikTok(ティックトック)」の開発・運営を手がける字節跳動科技(バイトダンス)だ。

同社の国際特許の出願件数は719件と、2019年の70件の10倍以上に急増。企業別のランキングは32位と、2019年の362位から大躍進を遂げた。その要因についてフィンク氏は、TikTokのグローバルな人気の高まりが背景にあるとの見方を示した。

(財新記者:張而弛)
※原文の配信は3月3日

財新 Biz&Tech

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ザイシン ビズアンドテック

中国の独立系メディア「財新」は専門記者が独自に取材した経済、産業やテクノロジーに関するリポートを毎日配信している。そのなかから、日本のビジネスパーソンが読むべき記事を厳選。中国ビジネスの最前線、イノベーションの最先端を日本語でお届けする。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT