ショート動画「快手」上場後決算で赤字転落の訳

流通総額6兆円超えも、マーケティングが重荷に

快手は今年2月、香港証券取引所に鳴り物入りで上場を果たした(写真は同社ウェブサイトより)

中国のショート動画アプリ大手の快手科技(クワイショウ・テクノロジー)は3月23日、株式公開後初の決算を発表した。同社の2020年10~12月期の売上高は前年同期比52.7%増の180億9900万元(約3019億円)。調整後の純損益は7億400万元(約117億円)の赤字を計上したが、赤字幅は前年同期より12.2%縮小した。

快手は今年2月5日、香港証券取引所のメインボードに鳴り物入りで上場。決算報告書によれば、2020年12月末時点の1日当たりアクティブユーザー数は2億7100万人に達し、1年前より20%以上増加した。また、ユーザーのアプリ利用時間は1年前の1日当たり76分から同89.9分に伸びた。

同時に発表した2020年の通期決算では、売上高が前年比50.2%増の587億7600万元(約9804億円)と、広告収入の好調に牽引されて大幅増収を記録した。しかし調整後の純損益は2019年の10億3400万元(約172億円)の黒字から一転、2020年は79億4900万元(約1326億円)の赤字に転落した。

通期の赤字の原因について、快手は決算報告書のなかで「ユーザー数の拡大とブランド認知度の向上のため、販売・マーケティング費用が増加した」と説明した。損益計算書には2019年の2.7倍の266億1500万元(約4439億円)が販売・マーケティング費用として計上されており、売上高の45.3%に相当する金額を投入した格好だ。

ライブコマース事業の売上高は伸び悩み

中国では(2020年前半の)新型コロナウイルス流行の最中、ライブコマース(生中継のネット動画による実演販売)が爆発的に成長し、快手はその恩恵に浴した。2020年にライブコマースを通じて販売された商品の総額(流通総額)は、快手自身および動画とリンクした提携先の合計で3811億6900万元(約6兆3579億円)に達し、2019年の6.4倍に急拡大した。

もっとも、快手の帳簿に計上される収入という視点では、違う景色が見えてくる。決算報告書によれば、ライブコマース事業の2020年の売上高は332億900万元(約5539億円)と、総売上高の56.5%を占める基幹事業になっている。しかし売上高の2019年比の成長率は5.6%と、流通総額の伸びに比べて大きく見劣りする。

本記事は「財新」の提供記事です

同じく決算報告書によれば、ライブコマース事業の2020年の有料ユーザー数は月間平均5760万人と、2019年比で17.8%増加した。ところが、有料ユーザー1人当たりの支払額は2019年の月間平均53.6元(約894円)から、2020年は同48元(約801円)へと1割以上目減りしてしまった。

これは巨額の販売・マーケティング費用を投入した結果と見られ、同じくライブコマース事業の売上高が伸び悩んだ背景だろう。

(財新記者:関聡)
※原文の配信は3月24日

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