中国の新興EV(電気自動車)メーカーの蔚来汽車(NIO)は3月26日、半導体不足のため安徽省合肥市の工場での生産を3月29日から5日間停止すると発表した。
この工場は、蔚来汽車が安徽省政府系の国有自動車メーカーの江淮汽車(JAC)と合弁で建設したものだ。蔚来汽車の董事長(会長に相当)を務める李斌氏は3月2日に開催した2020年10~12月期の決算説明会で、「合肥工場の生産能力は月産1万台だが、車載用半導体や電池などの供給不足により、実際の生産は月産7500台にとどまっている」と述べていた。
決算説明会の時点では、蔚来汽車は2021年1~3月期に納車可能な台数を2万台から2万500台と説明していた。しかし今回の生産停止により、1~3月期の納車計画は約1万9500台に下方修正された。
5日間の生産停止の終了後について、蔚来汽車は「生産再開は可能」としている。ただし、半導体や電池などキーパーツの長期的な安定調達については「引き続き状況を見極める必要がある」とした。
思わぬ天災や事故で供給不足に拍車
蔚来汽車に限らず、半導体不足は世界の自動車産業が頭を悩ます共通の難題となっている。
「かつては生産計画を3カ月サイクルで立てていたが、半導体不足のため、今は1時間単位で計画を調整している」。中国の民営自動車大手、吉利汽車(ジーリー)の安聡慧董事長は、3月23日の決算説明会でそう語った。ドイツのフォルクスワーゲンの北米事業トップを務めるスコット・キーオ氏は、海外メディアの取材に対して「半導体不足は秋には落ち着くと予想するが、さらに半年間前後は影響が残るだろう」と述べた。
今回の半導体不足の原因は、スマートフォン向けなどの需要拡大のスピードに半導体メーカーの生産能力増強がまったく追いついていないことにある。加えて、思わぬ天災や事故の発生が需給逼迫に拍車をかけている。
アメリカのテキサス州では今年2月、未曾有の寒波による大雪や凍結などの影響で、韓国のサムスン電子やオランダのNXPセミコンダクターズなどの現地工場が一時生産停止に追い込まれた。3月には、日本のルネサスエレクトロニクスの工場で火災が発生。同社の生産停止は1カ月におよぶ可能性があり、半導体不足は深刻になる一方だ。
(財新記者:鄭麗純)
※原文の配信は3月26日
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