日本の「車載用空調大手」を中国家電大手が買収 海信家電集団、214億円投じサンデンの再建支援

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海信家電集団は老舗メーカーの科龍電器を母体とする白物家電大手だ。写真は広東省佛山市順徳区にある本社ビル(同社ウェブサイトより)

中国の家電大手、海信集団(ハイセンス)傘下の海信家電集団(ハイセンス・ホーム・アプライアンス・グループ)は3月1日、経営不振に陥っていた日本の車載用空調大手、サンデンホールディングスの再建支援先に選ばれたと発表した。同社はサンデンの第三者割当増資を総額214億900万円で引き受け、増資後の議決権の75%を取得する。

1943年創業のサンデンの主力事業は、車載用エアコンのコンプレッサーおよび車載用空調システム。日本の自動車大手の系列に属さない独立系サプライヤーであり、東京証券取引所第一部に上場している。主要顧客は欧州のステランティス(旧グループPSA)やアメリカのゼネラルモーターズ(GM)などだ。

サンデンの経営不振は、新型コロナウイルスの世界的大流行による自動車の販売減少の影響が大きい。主要顧客のうち、GMの2020年のグローバル販売台数は前年比11.5%減少、グループPSAに至っては同27.8%も落ち込んでしまった。

白物家電から車載機器への多角化狙う

2月9日にサンデンが発表した2020年9~12月期の決算報告によれば、同年4月から12月までの累計連結売上高は944億9600万円、純損益は168億4000万円の赤字だった。同社の説明によれば、新型コロナの流行による市場環境の激変に、電気自動車(EV)関連製品への先行投資や特別損失などが重なり、収益が急速に悪化したという。

そんななか、サンデンは2020年6月に私的整理の一種である事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)制度の利用を申請して出資者を公募。25組を超える候補のなかから、最終的に海信家電集団が支援先に決定した。

海信家電集団の主力製品は家庭用エアコンや冷蔵庫などの白物家電だ。サンデンに出資する狙いについて同社は、自動車産業でクルマの電動化、スマート化の潮流が加速しており、電動車向けのヒートポンプ方式のエアコンや電池の急速充電技術へのニーズが高まっていることを挙げた。

本記事は「財新」の提供記事です

サンデンは世界の自動車業界で知名度が高く、特に車載用エアコンのコンプレッサーでは世界2位の市場シェアを誇る。海信家電集団は今回の買収完了後、サンデンを核にして車載用空調分野への多角化を進めるもくろみだ。

(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は3月1日

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