中国の家電大手のTCL科技集団(TCL)は6月19日、子会社のパネルメーカーのTCL華星光電技術(CSOT)が、日本の有機ELパネルメーカーのJOLED(ジェイオーレッド)に総額300億円を投資する資本業務提携契約を結んだと発表した。これを機に、両社は「印刷方式」と呼ばれる有機ELの製造技術で協力関係を深める。
なおTCLは、JOLEDの企業価値の評価額や投資完了後の出資比率は明らかにしていない。TCLに近い関係者によれば、JOLEDへの投資は第三者割当増資の引き受けと転換社債の2本立てで行われる(訳注:JOLED側の発表によれば、同社の第三者割当増資にCSOTの日本法人が200億円を出資する。残り100億円が転換社債による融資とみられる)。
新型コロナウイルスの影響で、契約の調印式は6月19日午後にオンラインで行われた。先の関係者によれば、TCLはJOLEDが開発した印刷方式の独自技術にかねてから注目しており、2019年から密接な交渉を何度も重ねて今回の資本業務提携に至ったという。
大規模生産のリスクとコストの抑制狙う
JOLEDは2015年にソニーとパナソニックの有機EL事業を統合して設立され、2017年12月に印刷方式による21.6インチの有機ELパネルを世界で初めて製品化した。2019年11月には印刷方式の量産ラインが日本の石川県に完成し、今年から量産出荷を始める計画だ。
有機ELパネルの市場では、主にスマートフォン向けの小型パネルは韓国のサムスン電子、主にテレビ向けの大型パネルはやはり韓国のLGディスプレーが圧倒的なシェアを握っている。両社はともに現在主流の「蒸着方式」と呼ばれる製造技術を採用しているが、JOLEDの印刷方式は蒸着方式では不可欠な真空装置が必要なく、発光材料の利用効率も高いなどコスト面で有利とされる。
TCLはJOLEDとの資本業務提携を通じて印刷方式の技術や製造ノウハウを吸収するとともに、印刷方式による大型有機ELパネルや製造装置などを共同開発する。それによって大規模生産のコストとリスクを抑え、CSOTの競争力を高めて世界のパネル市場で韓国勢を追撃するもくろみだ。
(財新記者:彭岩鋒)
※原文の配信は6月20日
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