新型コロナウイルスの世界的流行が収まりを見せず、中国のアパレル輸出企業の苦況が長引いている。中国海関総署(税関)のデータによれば、2020年1~5月の中国製衣料品の輸出額は2678億1000万元(約4兆440億円)と前年同期比20.3%減少した。
「海外のアパレル需要が短期間でコロナ前の水準に回復することはないだろう。顧客であるブランド企業や貿易会社からの受注量は減少やキャンセルが続いている。発展途上国向けの商売は代金回収のリスクも高まっている」。アパレル商社大手の中紡国際服装の総経理(社長に相当)を務める段涛氏はそう話す。
仮に受注が取れても、契約の期日までに商品を納めて利益を上げるのは容易ではない。新型コロナの影響で国際物流が停滞し、運賃も値上がりしているからだ。「中国の工場から輸出先までの輸送コストは保守的に見積もっても25%上がった」(中国紡績品輸出入商会の副会長の王宇氏)。
国内販売への転換は容易にあらず
アパレル輸出企業は、受注減少と物流コスト上昇のダブルパンチに見舞われている状況だ。そんななか、各企業は生き残りを懸けてさまざまな試行錯誤を続けている。
そのひとつが、新型コロナで需要が急増したマスクや防護服の輸出だ。多数のアパレル輸出企業が既存のサプライチェーンを活用して参入し、減少した受注の一部を埋め合わせた。海関総署の輸出入統計ではマスクは紡織品のカテゴリーに含まれるが、2020年5月の紡織品の輸出額は206億5000万ドル(約3120億円)と前年同月比79.2%増加。その3分の1から2分の1をマスクが占めたとみられている。
しかし、マスクの輸出もここにきて頭打ちになりつつある。そこで、より長期的な対策として国内販売への転換を模索する企業が増えている。とはいえ、これは頭で考えるほど簡単ではない。同じ衣料品でも海外と国内では主流のサイズや好まれるデザインが違うため、新たに国内向けの製品開発が必要となるからだ。
「例えばアラブ諸国向けにローブを輸出していた会社は、国内販売への転換には相当苦労するだろう」。あるアパレル企業の責任者は、財新記者にそう語った。
(財新記者:王婧)
※原文の配信は6月23日
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