中国は公海での遠洋イカ漁の自主休漁を初めて実施する。イカ資源の保護と遠洋漁業の持続可能な発展を促すため、中国農業農村省が2020年6月1日付で全国の地方政府や水産事業者に通達した。
イカは中国の遠洋漁業の主要な対象魚の1つだが、近年は気候変動などさまざまな要因から資源量や漁場の分布に大きな変化が生じていた。今回の自主休漁では、大西洋西南部のアルゼンチン沖および太平洋東部のペルー沖の公海上で操業するすべての中国籍漁船が漁労を一斉に停止する。
自主休漁の具体的な海域と期間は、大西洋西南部が南緯32~44度、西経48~60度の範囲で毎年7月1日から9月30日まで、太平洋東部が北緯5度~南緯5度、西経95~110度の範囲で毎年9月1日から11月30日までに設定された。
イカの漁獲量は9年連続で世界一
中国の遠洋イカ漁は1989年に日本海から始まり、続いて太平洋の西北部、東南部、大西洋西南部、さらにインド洋へと漁場を広げてきた。イカの漁獲量は中国が9年連続で世界一であり、遠洋イカ釣り漁船の数は600艘を超える。2018年の漁獲量は52万トン余りと世界全体の20%を占めた。
なかでも浙江省舟山市は、全国の水揚げ量の6割以上が集中する遠洋イカ漁の最大の母港だ。舟山市遠洋漁業協会の関係者によれば、2007年から2011年ごろにかけては大西洋西南部で操業する漁船の1艘当たり漁獲高が2000トンを超えていた。しかし最近はそれが200~400トンに減り、2019年にはわずか50トンの漁船も出てきたという。舟山市の水産業界はイカ資源の激減に危機感を強め、中央政府に公海での一斉休漁を陳情していた。
また近年、中国の遠洋漁船が海外当局の目の届きにくい海域で違法な操業や漁獲制限を超える乱獲を繰り返し、現地で摘発や処罰を受けるケースが増えている。農業農村省は自国漁船のルール違反を一切容認しないとしており、今回の自主休漁には水産業界の秩序を引き締める狙いもあるとみられている。
(財新記者:周泰来)
※原文の配信は6月20日
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