中国企業「独自開発DRAM」初投入で見据える商機 半導体メーカーCXMT、製造技術は国際的水準

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CXMTは2016年からDRAMの独自開発に取り組み、ついに製品化に漕ぎ着けた(写真はCXMTのウェブサイトより)

長年にわたる模索を経て、中国企業が独自開発した初のDRAMチップがついに市場に登場した。半導体メーカーの長鑫存儲技術(CXMT)製のDRAMチップを搭載したパソコン向けのメモリー・モジュールを、江波龍電子(ロングシス)や嘉合勁威(POWEV)などの大手モジュール・メーカーが5月から相次いで発売している。

ロングシスは5月19日、CXMTのチップを採用した容量8ギガバイトおよび16ギガバイトのDDR4型DRAMモジュール3種類を発表。同社によれば、CXMTのDRAMチップはロングシスが独自開発した試験装置の厳しいテストに合格し、「製造技術は国際的な水準に達している」という。

世界のDRAM市場は現在、韓国のサムスン電子とSKハイニックス、アメリカのマイクロン・テクノロジーの海外3社が圧倒的なシェアを握る。そんな中、近年は中国の半導体メーカーがDRAM参入の機会をうかがい、中でも2016年から開発を進めていたCXMTが製品化で先行していた。

性能や歩留まりに課題も、将来に伸びしろ

業界関係者によれば、CXMTのチップの性能はまだサムスンなどの海外勢に及ばない。ただし、それはスペックを超える過酷な条件でテストした場合の話だ。「パソコンなどの一般用途には問題ない。高性能サーバーなどへの採用はもうしばらく時間がかかるだろう」と、この関係者はみる。

製造面にも課題が残る。CXMTのチップは19nm(ナノメートル)のプロセス技術で製造されているが、海外勢はすでに14~16nmのプロセス技術に移行している。これは、同じサイズのシリコンウエハーから切り出せるチップの数がCXMTのほうが少ないことを意味する。製造工程でのチップの歩留まりも、海外勢に比べて低いとみられている。

本記事は「財新」の提供記事です

このため、CXMTの参入がDRAM市場に与えるインパクトは現時点では小さい。だが逆に言えば、同社には伸びしろがある。CXMTの執行副総裁の劉紅雨氏は今年4月、新華社の取材に対して「2020年は12インチウエハー換算で月産4万枚の生産を計画している」と明らかにした。半導体業界に詳しいあるアナリストは、同社がそれを2021年に月産10万枚に引き上げると予想する。

(財新記者:何静書)
※原文の配信は6月11日

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