中国の内モンゴル自治区政府の発展改革委員会は2月25日、同自治区内での仮想通貨のマイニング事業をすべて2021年4月末までに終了させ、新規のプロジェクトも禁止すると発表した(訳注:マイニングは仮想通貨の取引データの正確性を検証・承認するための計算作業。事業者は計算能力を提供する見返りとして仮想通貨を得ることができる)。
マイニング禁止は、同自治区が第14次5カ年計画(2021~2025年)のエネルギー関連目標を達成するための一連の方策の1つとして打ち出された。
5カ年計画では、初年度の2021年に自治区内のGDP(区内総生産)1単位当たりのエネルギー消費量を3%減らし、エネルギー消費の総量の増加率を1.9%前後に抑えるとしている。その実現に向け、製鉄や石炭火力発電などの従来型産業に加えて、電力を大量に消費する仮想通貨のマイニングにも焦点が当てられた格好だ。
イギリスのケンブリッジ大学の推計によれば、ビットコインのマイニングを行う計算能力は2020年4月時点で全世界の60%が中国に集中し、2位のアメリカの約7%に大きく水を空けている。さらに中国国内の計算能力を地方別に見ると、36%が新疆ウイグル自治区、10%が四川省、7%が内モンゴル自治区、5%が雲南省に分布しているという。
電力コストが安い地方に集中
ただし、実際の計算能力の分布について正確かつ詳細なデータは存在しない。また、その分布は季節によっても変化するとされる。
例えば、水力発電が盛んな四川省と雲南省では余剰電力を利用したマイニングが活発だ。しかし冬場の乾期にはダムの水量が減って電力コストが上がるため、石炭資源が豊富な新疆ウイグル自治区や内モンゴル自治区のほうが有利になる。
なお、マイニング会社のうち株式公開企業の多くは自社の計算能力の情報を開示している。国盛証券のレポートによれば、アメリカのマラソン・パテント・グループ、ライオット・ブロックチェーン、ビット・デジタルに代表される上場マイニング会社は、2021年2月19日時点で33万台のマイニング用コンピューターを導入。その計算能力はビットコイン向けの計算能力全体の16%を超える。
それらの上場企業のうち、少なくともビット・デジタルと中国の第九城市(The9)は内モンゴル自治区でのマイニングを明らかにしている。
(財新記者:胡越)
※原文の配信は3月1日
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