中国の石炭大手、兖州煤業の豪州子会社である兖煤澳大利亜(ヤンコール・オーストラリア)の業績が4年ぶりの赤字に転落した。同社が2月26日に発表した2020年の決算報告によれば、売上高は34億7300万オーストラリアドル(約2873億円)と前年比22%減少し、税引き後損失10億4000万オーストラリアドル(約860億円)を計上した。
ヤンコール・オーストラリアは兖州煤業の対豪投資の拠点として2004年に設立され、香港証券取引所に株式を上場している。現在はオーストラリアに11の炭鉱の権益を持つほか、豪州最大の石炭積み出し港であるニューカッスル港の輸出施設の権益36.5%も保有している。
同社の損益が赤字に陥ったのは、新型コロナウイルスの世界的大流行による経済活動の停滞で石炭需要が後退し、売価が大幅に下落したのが最大の要因だ。2020年の発電向け石炭の平均販売価格は前年より24%安い1トン当たり76オーストラリアドル(約6287円)、金属精錬向け石炭は同26%安い1トン当たり124オーストラリアドル(約1万259円)だった。
負債比率は2019年比12ポイント上昇
さらに、関連会社のワタガン・マイニングが2020年度から再び連結決算の対象となり、13億8300万オーストラリアドル(約1144億円)の特別損失をもたらしたことも影響した。ヤンコール・オーストラリアの負債比率は2020年末時点で41%と前年比12ポイント上昇したが、これもワタガンの再連結が関係している。
ワタガンは2015年に設立された特定目的会社(SPC)で、ヤンコール・オーストラリアがニューサウスウェールズ州に保有する3つの炭鉱の権益を移譲した。ワタガンはそれを担保に総額7億7500万ドル(約824億円)の有担保社債を機関投資家向けに発行。これに伴い、ヤンコール・オーストラリアの連結決算の対象から外れていた。
だが、兖州煤業とその関連会社が2020年12月までに社債をすべて買い戻したことにより、ワタガンは連結決算の対象に復帰した。
なお、ヤンコール・オーストラリアは2020年にニューサウスウェールズ州のムーラーベン炭鉱の権益10%を取得。それによる特別利益6億5300万オーストラリアドル(約540億円)を計上し、ワタガンの特別損失の一部を相殺した。
(財新記者:白宇潔)
※原文の配信は2月27日
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