海運用コンテナの製造で世界最大手の中国国際海運集装箱集団(CIMC)は9月28日、同業のマースク・コンテナ・インダストリー(MCI)を10億8380万ドル(約1201億円)で買収すると発表した。双方の合意に基づき、CIMCは中国の山東省青島にある冷凍・冷蔵コンテナ工場やデンマークのティンレフにある研究開発拠点を含むMCIの資産と社員を引き継ぐ。
MCIは、海運世界最大手でデンマークに本社を置くA.P. モラー・マースクの子会社で、社員数は2300人。コンテナの製造拠点は中国に置き、広東省東莞にあった一般用コンテナの工場を2018年末に閉鎖した後は、冷凍・冷蔵コンテナの製造に特化している。
同社の売却について、親会社のマースクは「経営戦略全体の見直しなかで必要だった」とコメントした。マースクは2017年から非中核事業の切り離しを進めており、傘下の石油会社やボーリング会社などを相次いで売却してきた。
冷却装置は欧米日の4社寡占状態
財新記者の取材に応じたCIMCの関係者によれば、同社の冷凍・冷蔵コンテナ事業は現在は「箱」の製造に限られ、海運用の特殊冷却装置などの中核設備は外部から調達している。MCIは冷却装置の最先端技術を持つことから、今回の買収を通じて海運用冷凍・冷蔵コンテナの製造技術のレベルアップが期待できるという。
「海運コンテナ用の特殊冷却装置は高い製造技術が必要で、現時点の市場は欧州のMCI、アメリカのキャリアおよびサーモキング、日本のダイキン工業による4社寡占状態になっている」(CIMC関係者)
海産物や果物、医薬品などの国際貿易では冷凍・冷蔵輸送が必須であり、そのすべてに冷凍・冷蔵コンテナが使われている。
全世界の冷凍・冷蔵貨物の国際輸送量は(新型コロナウイルスの世界的流行が始まる前の)2019年時点で2億7500万トン。それ以前の5年間の年平均成長率は3.6%で、全体の47.3%を海上輸送が占めていた。CIMCは冷凍・冷蔵貨物輸送の成長が今後も続くと見ており、それがMCI買収の決断につながった。
(財新記者:賈天琼)
※原文の配信は9月28日
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