深刻な経営危機に瀕している中国の不動産大手、恒大集団(エバーグランデ)の創業トップの許家印・董事局首席(会長に相当)が、自身が保有する同社の株式の一部を処分したことが明らかになった。
許氏は11月25日、市場外取引で12億株を総額26億7600万香港ドル(約395億7800万円)で売却し、翌日その事実を(株式の上場先である)香港証券取引所に届け出た。これにより、恒大集団の発行済株式に占める許氏の保有率は76.96%から67.87%に低下した。
2021年6月以降、恒大集団はデフォルト(債務不履行)回避のために保有資産の切り売りを繰り返してきた。11月18日には、ネットサービスを手掛ける傘下企業の恒騰網絡集団(ハンテン・ネットワークス)の株式をすべて売却したと発表。だが資金不足の規模があまりにも大きく、デフォルトのリスクを緩和できるメドは立っていない。
資金不足で開発案件の工事がストップ
そんななか、ブルームバーグは消息筋からの情報として、中国政府の関係当局が許氏に対して私財の処分による恒大集団の債務補填を求めたと報道した。関係当局は同時に、恒大集団の(中国各地の)子会社が開発物件の建設工事に資金をきちんと投じるよう、地方政府に対して監督強化を指示したという。
許氏の私財処分については、今回の持ち株売却だけでなく、香港の高級住宅街に所有する2棟の豪邸もファイナンス会社の抵当に入ったと見られている。ロイター通信は、許氏が美術品や不動産など、さらに多くの私財を手放すと報じた。
恒大集団の経営危機が表面化して以降、工事代金の未払いなどにより、同社の開発物件の多くで建設工事がストップしている。恒大集団は「工事再開に全力を挙げる」と繰り返し表明してきたが、現在も多額の未払金が残っており、再開は進んでいないのが実態だ。
(財新 駐香港記者:周文敏)
※原文の配信は11月26日
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