中国のスマートフォン大手の小米(シャオミ)が、スマホ用半導体の独自開発への再挑戦に乗り出した。12月7日、上海市で玄戒技術という名称の企業の設立登記が行われ、中国政府の企業登記情報サイトで基本情報が開示された。財新記者の取材によれば、この新会社はシャオミがスマホの心臓部であるSoCの開発拠点として設立したものだ。
(訳注:SoCはシステムオンチップの略称。CPUや通信モデムなどの基幹機能を1つの半導体チップにまとめたもの)
登記情報によれば、玄戒技術の事業内容は「集積回路の設計および関連サービス、集積回路のチップおよび製品の販売」となっている。法定代表者には曾学忠氏、監事には劉德氏の名前が記されており、2人はいずれもシャオミの上級幹部だ。
シャオミの内情に詳しい関係者によれば、開発拠点を上海に設立したのは「半導体産業の環境が(他の地域より)相対的に成熟しており、SoCの設計に携わる優秀なエンジニアを確保しやすいと判断したため」だという。なお、財新記者は事実関係についてシャオミに問い合わせたが、12月10日までの時点で回答は得られなかった。
独自SoCによる差別化は「茨の道」
シャオミにとって、スマホ用SoCの開発は初めてではない。同社は2014年に半導体設計会社の小米松果電子を北京市に設立。2017年に初の独自SoC「澎湃S1」を発表し、自社製の低価格帯のスマホに搭載した。しかし市場の反応は芳しくなかった。スマホ業界の関係者によれば、澎湃S1は「動作の安定性に問題を抱えていた」という。
その後、業界内では「シャオミは独自SoCの開発を中止した」との観測が流れていた。だが前出のシャオミ関係者によれば、それは事実に反するという。「実際には後継SoCの『澎湃S2』の開発を進めていた。しかし最終的に製品化には至らなかった」。
スマホメーカーにとって、SoCの独自開発はスマホの機能を差別化するための戦略的手段の1つになっている。だが、それを実現するのは容易なことではない。半導体業界に詳しい専門家は次のように指摘する。
「スマホ用SoCは、数世代の製品開発を通じた検証と改良を経なければ、成熟度を上げるのは難しい。さらに(他社が保有する)知的財産権の問題も避けて通れない。開発プロジェクトをゼロから立ち上げるのは茨の道だ」
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は12月10日
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