中国の製薬会社が独自開発した、新型コロナウイルスの「抗体カクテル療法」治療薬が初めて承認された。中国国家薬品監督管理局は12月8日、騰盛華創医薬技術の「アムバルビマブ・モノクローナル抗体注射液」と「ロムルセビマブ・モノクローナル抗体注射液」の登録申請を緊急承認したと発表した。
同局のウェブサイトによれば、緊急承認の手続きは中国の薬品管理法の特別審査プロセスにのっとって進められた。2種類の薬品は、症状が軽症または中等症の新型コロナ患者のうち(高齢者や慢性疾患を持つ人など)重症化リスクが高い成人および12歳以上の青少年を対象に、併用して投与することが認められる。
承認を受けた騰盛華創医薬技術は、香港証券取引所に上場する中国の製薬会社、騰盛博薬生物科技(ブリー・バイオサイエンシズ)の子会社だ。騰盛博薬は、理工系の名門大学である清華大学および深圳市第三人民医院と共同で、抗体カクテル療法の研究開発に取り組んできた。同社の公表資料によれば、今回承認されたモノクローナル抗体は回復期の新型コロナ患者の免疫細胞が生成した抗体の中から選別したものだという。
入院および死亡のリスクが80%低下
騰盛博薬のCFO(最高財務責任者)を務める李安康氏は、財新の取材に対して「抗体カクテル療法の中国国内での薬価はまだ決まっていない」と述べた。李氏によれば、(中国より先に承認された)アメリカ政府の調達価格は1回分が2100ドル(約23万8581円)だという。また、同社総裁(社長に相当)の羅永慶氏は、「戦略的備蓄を前提にした大規模調達について、(中国政府の)関係機関と協議している」と明かした。
今回の緊急承認は、847人の患者を対象に実施された第3相臨床試験の結果に基づくものだ。アムバルビマブとロムルセビマブを併用した抗体カクテル療法では、偽薬を投与した場合と比べて重症化リスクが高い新型コロナ患者の入院および死亡のリスクが80%低下した。
なお、新型コロナの変異株への有効性について騰盛博薬は、同社の抗体カクテル療法は「デルタ株」などの主要な変異株に対する中和活性を維持していると説明した。その一方、新たに出現した「オミクロン株」に関してはまだ研究中だとしている。
(財新記者:王礼鈞)
※原文の配信は12月9日
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