中国の新興EV(電気自動車)メーカーの小鵬汽車(シャオペン)が「空飛ぶクルマ」への参入を宣言してから1年余り。創業者で董事長(会長に相当)を務める何小鵬氏は、10月24日、その事業化スケジュールを発表した。2024年に量産型の第1号モデルの生産を始め、価格は100万元(約1777万円)以下に抑える計画だ。
空飛ぶクルマは、電動モーターで駆動するプロペラの推進力で垂直離着陸が可能な有人の飛行機械のことだ。小鵬汽車のプロジェクトの主体である匯天航空航天科技は10月19日、シリーズAの資金調達ラウンドで5億ドル(約567億5000万円)を超える投資を得たと発表していた。
小鵬汽車は量産型モデルのイメージ動画も公開した。最大の特徴は、2基の大型のプロペラを持ち、地上を(自動車のように)走行する際はプロペラを折り畳んで機体に収納できることだ。そして「飛行モード」に切り替えると、プロペラが機体の外に展開して垂直離陸が可能になる。
これまでに世界の多数のスタートアップ企業、航空機メーカー、自動車メーカーなどが空飛ぶクルマの開発を宣言しているが、小鵬汽車のような「プロペラ2基」のデザインはかなり珍しい。空飛ぶクルマは技術的には小型の無人機(ドローン)から派生したものであり、一般的には最低でも6基以上の多数のプロペラを装備している。
都市ではなく郊外での利用を想定か
プロペラの数が少ない場合、同じ揚力を発生させるにはプロペラを大きくしなければならない。小鵬汽車の量産型モデルは、プロペラを展開した状態での機体幅が12.2メートルに達する。これは一般的な車道の道幅を大きく超えるサイズであり、業界関係者の多くは「離着陸できる場所が限られる」と指摘する。
また、大部分の空飛ぶクルマが多数のプロペラを持つのは、安全上の考慮からでもある。プロペラの数が多ければ、仮に1基または数基が故障しても重大な事故にはつながりにくいからだ。
にもかかわらず、小鵬汽車があえて常識破りの設計を採用したのは、同社が想定している用途の違いに理由がありそうだ。大部分の空飛ぶクルマは、都市部の短距離空中交通手段としての運用を念頭に開発されている。だが事情に詳しい関係者によれば、小鵬汽車の量産モデルは(景勝地での遊覧飛行など)主に郊外での利用を想定しているという。
(財新記者:方祖望、黄栄)
※原文の配信は10月25日
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