中国の出生率が、1949年の建国以来の最低記録を更新したことがわかった。中国国家統計局が公表した最新版の「中国統計年鑑」のデータによれば、2020年の人口1000人当たりの出生数は8.5人と、(文化大革命終結後の)1978年以降で初めて10人の大台を割り込んだ。出生者数から死亡者数を差し引いた「自然増加率」も、2020年は1000人当たり1.45人と過去最低を記録した。
1年前の2020年11月から12月にかけて実施された国勢調査でも、2020年の中国の出生数は1200万人にとどまり、合計特殊出生率(1人の女性が生涯で産む子どもの数)は1.3という深刻な結果が示されていた。この水準は世界各国の出生率を大きく下回っている。
中国社会科学院で人口・労働問題を研究する王広州氏は、「中国はすでに超少子化の時代に突入した」と指摘する。中国では出生数、労働人口の減少に続いて、総人口も減少に転じる日が近づきつつあり、多くの専門家が懸念を表明している。
中国政府は8年前から、「一人っ子政策」として知られる人口抑制政策を段階的に緩和することで、人口減少に歯止めをかけようとしてきた。2013年に打ち出された、夫婦のどちらかが一人っ子の場合に第2子の出産を認めるという、条件付き「二人っ子政策」がその第一歩だ。
「一人っ子政策」転換の効果見えず
2年後の2015年には、夫婦どちらも一人っ子でなくても第2子の出産を認める、全面的な二人っ子政策に移行した。さらに、2021年には「三人っ子政策」の推進が発表され、認められた人数を超える出産に数十年にわたって科されてきた罰金が廃止された。
にもかかわらず、政府が期待する「出産ブーム」の兆しは一向に見えない。それどころか、出生率の低下に呼応するかのように、婚姻の数も減り続けている。統計年鑑によれば、2020年の婚姻件数は814万3300組と、前年より113万組減少。過去17年間の最低記録を更新した。
人口構成における男女比のアンバランスも著しい。統計年鑑によれば、2020年の総人口の性別比は女性100人に対して男性104.8人と、男性のほうが5%近くも多い状況だ。
中国国家統計局の広報官が2021年5月に明らかにしたデータによれば、20歳から40歳までの結婚適齢期では、このアンバランスがさらに深刻だ。適齢期の男性人口は女性より1752万人も多く、性別比は女性100人に対して男性108.9人に達する。この現実は、中国人の恋愛や結婚に無視できない影響を及ぼしている。
(財新記者:周信達、黄蕙昭)
※原文の配信は11月24日
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