新型コロナウイルスの世界的大流行は、各国の経済活動や市民生活に重大な変化を迫っている。その影響は学校にも及び、「子供たちが(感染対策で)学校に通えないなか、どうやって学習を継続していくか」が切実な課題となっている。
そんななかで成長が加速しているのがオンライン教育産業だ。新型コロナの感染状況が深刻なインド、インドネシア、ブラジル、メキシコなどでは、オンライン教育サービスへの需要が激増。それに着目した中国の教育関連企業が、新たな商機を求めて動き出している。
潜在市場として特に注目を集めているのがインドだ。ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)が出資する猿輔導(ユエンフータオ)、ゲーム大手の網易(ネットイース)傘下の有道(ヨウダオ)のほか、好未来(TAL)や伴魚(パルフィッシュ)などの教育関連大手が現地に進出したり、インドのオンライン教育企業に出資したりして、積極的に市場を開拓している。
猿輔導の傘下で海外向けオンライン教育事業を手がける猿印教育科技は、主力アプリ「オーダクラス」をインド市場に投入。「K12」と呼ばれる幼稚園児から高校生までの年齢層をターゲットにしており、新型コロナの流行以降に事業規模を倍増させた。
同社の公表資料によれば、オーダクラスの事業本部はインド南部のベンガルールに置かれている。売り物は、生徒の授業と復習を2人の担当講師がサポートするオンライン上でのリアルタイム講義だ。2019年11月のサービス開始以来、ユーザー数は累計のべ200万人、有料ユーザー数は同20万人近くに達した。
TikTok運営のバイトダンスも参入
一方、有道は辞書アプリの「ユー・ディクショナリー」を投入してインド市場に参入。ショート動画アプリTikTok(ティックトック)を運営する字節跳動科技(バイトダンス)は、「1分間の学習動画」を配信するプラットフォーム「EduTok(エデュトック)」を展開している。
インドのオンライン教育市場は、まだまだ開拓の余地が大きい。現地のコンサルティング会社のレポートによれば、インドのIT教育領域の市場規模は現在の7億~8億ドル(776億~887億円)から、10年以内に300億ドル(3兆3261億円)に拡大するという。過去5年間だけでも、インドのオンライン教育業界には40億ドル(4435億円)が投資されてきた。
(財新記者:黄蕙昭)
※原文の配信は6月24日
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