中国の国有石油大手の中国石油化工集団(シノペック)は6月28日、浙江省寧波市にある鎮海コンビナートの第1期プロジェクトの建設工事が完了したと発表した。同プロジェクトがフル稼働すると、鎮海コンビナートの生産能力は石油精製が年間400万トン、エチレンが年間120万トン増加する。
鎮海コンビナートの正式名称は「中国石化鎮海煉化分公司」で、シノペック傘下の7大石油化学コンビナートの1つだ。現時点の生産能力は石油精製が年間2300万トン、エチレンが年間100万トンに達する。
鎮海コンビナートは、ガソリンやディーゼルオイルなど地元の浙江省で消費される石油製品の約半分の供給を担うほか、他の化学工業メーカーに対して石油化学製品の基礎原料を供給している。
今回完成したプラントは点検や試運転を経て、2021年末に生産を開始する予定だ。さらに、鎮海コンビナートは今後10年以内に石油の精製能力を倍増させる計画を打ち出している。同コンビナートの公式ウェブサイトによれば、2030年には石油の精製能力を年間6000万トン、エチレンの生産能力を年間700万トンまで拡大する、としている。
コンビナートの大型化が相次ぐ
中国の石油化学業界ではコンビナートの大型化が相次ぐ。シノペック傘下の製油所の総精製能力に占める、年産1000万トンクラスの大型製油所の比率は、2020年末時点で70.9%に達した。これは3年前に比べて6.7ポイント上昇している。また(シノペックの)製油所1カ所当たりの平均精製能力は、3年前の年産862万トンから同946万トンまで拡大した。
生産能力が絶えず拡大するなか、供給過剰のリスクも積み上がっている。中国の石油化学業界では長らく、付加価値の低いローエンド製品が供給過剰となる一方で、付加価値が高いハイエンド製品は不足するという構造的矛盾が指摘されてきた。この課題は今もなお解決しておらず、製品の絞り込みや減産など、痛みを伴う対策が求められている。
(財新記者:趙煊)
※原文の配信は6月29日
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