中国の中堅自動車メーカー吉利汽車(ジーリー)は6月25日、上海証券取引所の新興ハイテク企業向け市場である「科創板」への上場申請の取り下げを決定した。同社が現在上場している香港証券取引所での情報開示から明らかになった。
申請取り下げの理由について同社は、事業戦略の調整に伴う経営判断だと説明している。吉利汽車は2020年9月1日に科創板への上場を申請し、200億元(約3429億円)を調達する計画だった。
同社は2021年3月23日に発表した年次報告書の中で、科創板への上場は中国証券監督管理委員会の承認を待っている段階だと説明していた。ところが3月31日、上海証券取引所は吉利汽車に対する上場審査を中断したことを明らかにした。上場申請書類に記載された財務情報が古く、規定に従ってアップデートする必要があるとしたためだ。
結局(申請から)271日後、吉利汽車は自ら申請を取り下げた。同社によれば、事業の運営は順調であり、今回の取り下げが財務や経営に重大な悪影響を及ぼすことはないとしている。
スマートEV子会社の上場を検討
同じく6月25日、吉利汽車はスマートEV(電気自動車)の開発を手がける子会社の極氪智能科技(ZEEKR)の董事会(取締役会に相当)が、外部資本からの資金調達の検討を決議したことを明らかにした。
ZEEKRはグローバル本部を浙江省寧波に置き、吉利汽車から独立した経営戦略をとる裁量権が与えられている。自社工場などの大型資産を持たないファブレスメーカーの形態をとり、将来は上場も検討している。
ZEEKRのCEO(最高経営責任者)を務める安聡慧氏は過去のインタビューで、「吉利グループにおけるブランドの位置づけは、吉利(ジーリー)と領克(リンク・アンド・コー)が低燃費のガソリン車、ハイブリッド車[HV]、プラグインハイブリッド車[PHV]などを展開し、ZEEKRはEVに焦点を定める」と語った。
今年4月15日、ZEEKRは最初のモデルとなる高級EV「ZEEKR 001」を発売した。同モデルは吉利汽車が開発した次世代プラットフォーム(車台)の「SEA浩瀚」を採用しており、価格は政府の補助金を利用後の実質負担ベースで26万6000元(約456万円)。デリバリー開始は2021年10月からを予定している。
(財新記者:鄭麗純)
※原文の配信は6月26日
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