低価格販売が強みの中国の電子商取引(EC)大手、拼多多(ピンドゥオドゥオ)は11月26日、2021年7~9月期の決算を発表した。売上高は215億600万元(約3834億円)と前年同期比51%増加したが、成長率は1~3月期の同239%増、4~6月期の同89%増に比べて減速した。純利益は16億4000万元(約292億円)と、4~6月期に続いて2四半期連続の黒字を確保した。
7~9月期の売上高は、決算発表前のアナリストの予想平均値だった266億元(約4742億円)を大幅に下回った。さらに、ユーザー数の増加ペースのスローダウンも鮮明になった。2021年9月末までの1年間のアクティブユーザー数は8億6700万人と、同年6月末までの1年間と比較して1740万人増加した。しかし1~3月の増加数は3580万人、4~6月は2160万人であり、勢いの低下は否めない。
拼多多の成長鈍化は市場の失望を誘い、アメリカのナスダックに上場しているADS(アメリカ預託株式)は急落した。11月26日の取引は前日の終値の9.15%安で寄り付き、終値は同15.86%安の68.46ドル(約7801円)で引けた。
「直営事業」の売上高が急減
事業セグメント別の業績を見ると、7~9月期は(ECプラットフォームの出店企業から徴収する出店料や広告料などの)ネットワーク・マーケティング・サービス関連事業の売上高が前年同期比44%増の179億4700万元(約3199億円)と、総売上高の8割強を占めた。(ECプラットフォームを利用した決済などにかかる)取引手数料の収入は34億7700万元(約620億円)と、前年同期の2.6倍に増加した。
注目すべきなのは、1~3月期に総売上高の4分の1近くを占めていた「直営事業」の売上高が、7~9月期はわずか8210万元(約15億円)と前年同期の約2割に急減したことだ。それに関して拼多多の経営陣は、「直営事業はユーザーニーズを補完するためのものであり、企業戦略の重点に位置付けたことはない」と業績説明会でコメントした。
(訳注:拼多多の直営事業は、生鮮農産物を自社で仕入れてオンラインで販売する新規事業「多多買菜(ドゥオドゥオマイツァイ)」が主軸になっていた)
中国では2020年の後半から、拼多多を含む複数の大手ネット企業が「社区団購」と呼ばれる地域コミュニティー向けのオンライン共同購買サービスに参入した。財新記者の取材に当時応じた関係者によれば、拼多多は社区団購を通じた商品販売の総額(流通総額)で2021年に4000億~5000億元(約7兆1305億~8兆9131億円)を目指していた。しかし思惑通りに進まず、戦略の見直しを迫られた可能性がある。
(財新記者:原瑞陽)
※原文の配信は11月27日
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