中国の家電大手の海爾集団(ハイアール)を37年間率いた72歳の名物経営者が引退する。同社は11月5日、董事局主席(会長に相当)を務める張瑞敏氏の退任を発表した。
張氏の地位を引き継ぐのは、ハイアールの総裁(社長に相当)を務めてきた周雲傑氏だ。新たな董事局(取締役会に相当)の主席に就き、CEO(最高経営責任者)を兼務する。同時に、これまで執行総裁だった梁海山氏が総裁に昇格。なお、引退後の張氏は董事局の名誉主席に就任する。
周氏と梁氏は、大学卒業後の1988年にハイアールに同期入社した生え抜きだ。2人とも現場の平社員からスタートし、一歩ずつ実績を積んで役員に上り詰めた。家電業界に詳しい専門家は、張氏がこのタイミングで地位を禅譲した理由について、「周氏と梁氏に後継者としてふさわしい能力があるとの見極めがついたからだろう」と分析する。
赤字の工場から売上高4兆円超の巨大企業に
ハイアールの歴史は、国有電気冷蔵庫工場の「青島電氷箱総廠」から始まった。1984年に35歳の若さで工場長に就任した張氏は、赤字続きで破産寸前だった会社を強烈なリーダーシップで立て直し、ハイアールを家電、医療、物流など複数分野の事業を手がける一大企業グループに成長させた。
同社の2020年の売上高は2302億7000万元(約4兆1011億円)、純利益は114億7000万元(約2043億円)、同年末時点のグループ総資産は3528億元(約6兆2834億円)に上る。傘下には家電事業の主力子会社である海爾智家(ハイアール・スマートホーム)、バイオ医療の海爾生物医療(ハイアール・バイオメディカル)、医療機械・サービスの盈康生命科技(インコン・ライフ・テクノロジー)という3社の上場企業を擁している。
かつて張氏はメディアやフォーラムにしばしば登場し、独自の経営哲学を語っていた。しかし近年は対外的な露出は減り、社内でも日常的なマネジメントに口を挟むことは少なくなっていた。重要な意思決定を周氏と梁氏に徐々に任せながら、張氏自身は新たな経営管理モデルの研究に没頭していたという。
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は11月5日
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