中国の新興EV(電気自動車)メーカー、拜騰汽車(バイトン)の経営危機が表面化して1年余り。同社はいよいよ破産の瀬戸際に追い込まれた。債権者の1社が南京市中級人民法院(地方裁判所)に対してバイトンの実質経営主体の破産を申し立て、11月1日にその審理が始まったのだ。
2016年に創業したバイトンは、最初のモデルである「M-Byte」のプロトタイプを2018年に発表。翌2019年から量産するもくろみだったが、現在に至るまで実現していない。
同社の躓きのきっかけは、2019年6月、中国政府がEVに対する補助金を大幅に削減したことだった。さらに、翌2020年の前半には新型コロナウイルスの流行で中国経済が大きく冷え込んだ。そんななか、バイトンは予定していた5億ドル(約571億円)の資金調達に失敗して経営が回らなくなり、2020年6月末から事業活動の停止を余儀なくされた。
フォックスコンも提携打ち切り
その後、バイトンと関係が深かった複数の企業や地方政府による救済案が浮かんでは消えた。例えば2020年9月、国有自動車大手の中国第一汽車集団や南京市政府系の投資会社などが共同で事業承継の受け皿会社を設立し、新たに20億元(約357億円)を調達してバイトンを支援する計画が明らかになった。
2021年1月には、電子機器の受託製造サービス(EMS)大手の富士康科技集団(フォックスコン)が、バイトンと戦略提携の枠組み契約を結んだ。フォックスコンは台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)の中核子会社で、EVの独自開発を進めていることから、バイトン再生への期待感が高まった。
(訳注:フォックスコンとの提携については『ホンハイ子会社が中国の新興EVを「救済」する訳』を参照)
だが事情に詳しい関係者によれば、中国第一汽車集団や南京市政府はすでに支援計画を断念した模様だ。また、フォックスコンはバイトンの実態を数カ月かけて精査した後、さっさと手を引いたという。
「バイトンが(起死回生の)次のチャンスを見つけるのは難しい」と、この関係者は話す。財新記者はバイトンに対して、破産申し立ての経緯や経営の現状について取材を申し込んだが、回答は得られなかった。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は11月2日
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