電子機器の受託製造サービス(EMS)世界最大手の台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)は、10月18日、独自開発した電気自動車(EV)の試作車を自社グループのイベントで初公開した。
お披露目したのはセダンの「モデルE」、SUVの「モデルC」、バスの「モデルT」の3車種。実は、当日はホンハイの創業者である郭台銘(テリー・ゴウ)氏の71歳の誕生日だった。同氏は「モデルE」を自ら運転して発表会場に登場し、「最高に意義深い、素晴らしい誕生プレゼントだ」とコメントした。
ホンハイの董事長(会長に相当)を務める劉揚偉氏によれば、モデルTは2022年に台湾のバス会社に納品され、運行を開始する。また、モデルCは2023年の発売を予定しているという。
今回の発表会は、EVの開発・製造の技術力を潜在顧客にアピールすることが最大の狙いだった。ホンハイの説明によれば、公開した3車種は(ホンハイに対してEVの製造委託を検討する)顧客企業がクルマの商品企画を行う際のベースになるモデルであり、要望に応じて(外観や機能を)カスタマイズすることができる。
EV事業で2025年に3兆4000億円目指す
ホンハイは、アップルのスマートフォン「iPhone」の最大の製造受託先として知られている。このため自動車業界では、ホンハイがEVに参入した目的は、アップルが開発を進めている「アップル・カー」の製造を受託することにあるとの見方が主流になっている。
同社はこの2年間に10社近い企業と相次いで提携し、EVの本格製造に向けた布石を打ってきた。なかでも重要な一歩が、2020年2月、台湾の自動車メーカーの裕隆集団と共同で研究開発会社を立ち上げたことだ。
10月18日の発表会には、裕隆集団の董事長の厳陳莉蓮(リリアン・イェン・チェン)氏も出席。同社がホンハイにEV製造を委託する顧客第1号となることや、そのEVを傘下の「ラクスジェン」および「CMC」のブランドで発売することなどを明らかにした。
ホンハイ董事長の劉氏によれば、同社は2025年までにEV事業でグループ売上高の5%、金額にして300億ドル(約3兆4281億円)を稼ぎ出す目標を掲げている。また、その時点でEVの部品の40%を内製化する計画だ。
(財新記者:鍾騰達、周蜜、王婧)
※原文の配信は10月19日
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