中国の春節(旧暦の正月、今年の元日は2月1日)が近づくなか、アパレル製品の縫製、紡織、染色などを手がける現地の工場で、例年より前倒しで春節の長期休暇に入るケースが増えている。
「2021年12月中旬から新規受注が冷え込んでいる。そこに、新型コロナウイルスの防疫対策の影響による生地の供給不足が重なった。今年の春節は例年より半月ほど前倒しで休業に入る予定だ」。1月4日、財新記者の取材に応じた河北省、山東省、湖北省の複数の中堅企業の担当者は異口同音にそう語った。
1月初旬の段階ですでに休業入りした企業もある。「浙江省紹興市で発生した新型コロナの局地的流行で生地の供給がストップし、休業するほかなくなった」。河北省のある縫製会社の担当者は、そう溜息をついた。
紹興市は中国最大級の紡織業の集積地として有名だ。そこで2021年12月上旬に新型コロナの市中感染が見つかり、12月5日から13日までに123人の感染が確認された。地元政府は流行を封じ込めるため厳しい防疫対策を発動。その結果、多数の紡織工場が生産停止を余儀なくされ、繊維の原料や織り上がった生地を運ぶトラックも出入りを厳しく制限された。
コンテナ運賃高騰と人民元高も逆風に
「縫製工場や紡織工場は、通常なら(春節が近づいても)生産ラインを軽々しく止めたりしない。休暇期間を長く取ると(故郷に帰省したまま戻らない従業員が増えるため)、春節明けに人手を確保するのが難しくなるからだ。しかし現在は、例年の春節前よりずっと注文が少ない。生産ラインを止めなければ、人件費や光熱費の負担に耐えられない」
山東省德州市のあるアパレル企業の担当者は、苦しい実態をそう打ち明けた。注文減少の理由を質問すると、担当者は次のように続けた。
「やはりコロナ禍の影響が大きい。人々が自宅で過ごす時間が長くなり、アパレル製品の販売が全体的に落ち込んでいる。輸出に関しては、国際コンテナ運賃の高騰に人民元高が重なり、中国企業は利益がほとんど出ないか赤字の状況だ。採算を度外視してまで受注を取ることはできない」
上海航運交易所のデータによれば、中国発の輸出コンテナの運賃指数は過去1年間で2倍以上に急騰した。アパレル製品は(重さの割に)体積が大きく、重量当たりの物流コストがかさむのも頭痛の種だ。そのうえ、人民元の対ドル為替レートは過去1年で2.55%上昇した。
(財新記者:賈天瓊)
※原文の配信は1月5日
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