中国の国有非鉄金属大手、中国五鉱集団の業績が好調だ。同社は1月5日、SNSの公式アカウントで「2021年の売上高が前年比20%増加する」との業績予想を発表した。2020年の実績をもとに計算すると、売上高は初めて8000億元(約14兆5912億円)を突破して8323億元(約15兆1803億円)に達することになる。純利益も前年比10%増加し、計算上は155億元(約2827億円)となる見通しだ。
業績拡大の要因は金属相場の大幅な上昇だ。ロンドン金属取引所が発表しているLME金属指数は、2021年末までの1年間に31.8%上昇した。この指数はアルミニウム、銅、亜鉛、鉛、ニッケル、錫という代表的な非鉄金属6種で構成されている。そのうち銅(の価格指数)は1年間で25.8%、亜鉛は同28.3%、ニッケルは同25.0%それぞれ上昇した。
五鉱集団は近年、海外鉱山の権益買収に積極投資を続けてきた。これまでにペルーのラスバンバス銅山、オーストラリアのドゥガルドリバー亜鉛鉱山、パプアニューギニアのラム・ニッケル鉱山など、国際的に見て優良な鉱山の採掘権を数多く獲得。同社が保有するタングステン、アンチモン、ビスマスの資源量は世界の鉱山会社で首位であり、銅、亜鉛、ニッケルの資源量および産出量でも上位グループの一角を占めている。
ペルー銅山では地元住民との紛争も
とはいえ、海外鉱山のすべてが順調なわけではない。ペルーのラスバンバス銅山は産出量世界第9位の大型銅山だが、2021年の産出量は前年より若干減少した。環境問題をめぐる地元住民との紛争がこじれたためで、住民たちが鉱区に通じる道路にバリケードを築いて往来を遮断。銅山は2021年12月18日に操業中断に追い込まれた。その後(ペルー政府の調停などを経て)12月31日から部分的に操業を再開したものの、今後の行方は予断を許さない。
五鉱集団の海外拠点や資源開発プロジェクトは、すでに世界の60を超える国と地域に広がっている。同社は今後の経営戦略について、「主要な種類の金属に関しては、規模拡大を通じて(精錬の原料となる)鉱石の自給率を上げていく。一方、戦略的資源の希少金属については(企業買収などを通じて)業界の集中度を高めていく」と説明する。
また、金属市場では近年、相場のボラティリティー拡大やサプライチェーンの不安定化が顕著になっている。五鉱集団はこうした実情を直視し、鉱石の貿易や物流(のプロセス全体)への掌握力を高めるとともに、新素材の事業化やイノベーションの推進を強化するとしている。
(財新記者:羅国平)
※原文の配信は1月5日
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