2021年12月23日、中国の6大レアアース生産企業のなかの3社が合併し、新たな国策企業「中国稀土集団」が発足した。
中国稀土集団は、中国政府の国務院国有資産監督管理委員会(国資委)の直轄下にある「中央企業」として新設された。母体となったのは国有アルミ大手の中国鋁業集団(チャイナルコ)の子会社である中国稀有稀土、国有非鉄金属大手の中国五鉱集団傘下の五鉱稀土、江西省贛州市政府系の贛州稀土集団の3社である。さらに、レアアースの技術研究開発を手がける中国鋼研科技集団、有研科技集団の2社も合併に加わった。
なお、発足後の中国稀土集団の持ち株比率は国資委が31.21%、中国鋁業集団、中国五鉱集団、贛州稀土集団がそれぞれ20.33%ずつ、鋼研科技と有研科技がそれぞれ3.9%ずつとなっている。
中国のレアアース産業は、2016年に(政府主導で)実施された業界再編を経て6大企業に集約された。今回合併した3社のほかは、国有鉄鋼大手の包頭鋼鉄集団傘下の北方稀土集団高科技、広東省政府系の広東省稀土産業集団、福建省政府系の福建冶金控股傘下の厦門鎢業である。
レアアース産業の高度化は道半ば
これら6大企業は、国家自然資源省および工業情報化省が毎年定めるレアアースの採掘および分離・精製の割当量に基づいて生産を行ってきた。中国稀土集団の母体の3社は、2020年の割当量のうち中・重希土類の採掘の約68%、軽希土類の採掘の約39%、分離・精製の約42%を占めていた。
中国政府は2003年以降、レアアース産業の大規模な再編を3回にわたって実施した。その狙いは、中小規模の企業が乱立して過剰採掘や環境汚染が横行し、過当競争による値崩れで産業全体の競争力が高まらない悪循環を断ち切ることにあった。しかし、レアアース産業の高度化は今もなお十分とは言いがたい。
業界の内情に詳しい関係者によれば、レアアース産業の企業間競争は依然として苛烈だ。国家の戦略資源としてレアアースを有効活用するためには、さらなる再編・統合を通じて産業全体の競争力を底上げする必要があるという。
(財新記者:羅国平)
※原文の配信は2021年12月23日
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