「スキーブーム終了による倒産危機」を乗り越えた老舗が放った起死回生の新市場戦略

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(写真:Mayumi.K.Photography/PIXTA)
スキーブームの終焉、バブル崩壊――老舗スキーポールメーカーのシナノは、幾度もの市場変化に直面しながらも倒産の危機を乗り越え成長してきた。ヒット商品を次々と生み出し、100年を超えてなお成長を続けるシナノの、新たな市場を切り拓く独自のしくみを探る2回シリーズ。1回目は中小企業でもできる市場開拓戦略を紹介する。
書籍『100年企業「変化」のしくみ』の内容を一部改変して掲載しています。

既存市場参入と新規市場創出

シナノがスキーポール以外の柱として新たに挑戦した事業は、「既存市場への参入」と「新規市場の創出」の2つに大別できます。

前者の代表格は歩行杖で、後者の代表格は、シナノが2000年代以降に取り組んでいる「ウォーキングポール」です。

既存市場への参入と新規市場の創出にはそれぞれメリットとデメリットがあり、どちらが優れているというわけではありません。

既存市場への参入における最大のメリットは、参入リスクが比較的低いことです。1999年にシナノが初めて歩行杖を売り出したとき、杖の市場は小さいながらも確かに存在していました。

当時は、国内外の職人さんが手作りした杖ばかり。そこにより安価で機能が高く、一定水準以上の質を兼ね備えた「工業製品としての歩行杖」を投入したことで、シナノは大きなシェアを獲得することができました。

つまり、競合より優位性のある商品・サービスを用意できれば、既存市場で大きな利益を得るチャンスがあるのです。

一方、既存市場への参入にはデメリットもあります。それは、常に厳しい競争にさらされる点です。そこには先行して商売をしていたライバルがいるはずですし、自社より後発の企業がさらに参入する危険性もあります。

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