「スキーブーム終了による倒産危機」を乗り越えた老舗が放った起死回生の新市場戦略
そのため、価格競争や機能面での争いに巻き込まれることが十分に考えられます。
それに比べると新規市場の創出は、ハイリスク・ハイリターンだと言えるでしょう。市場を開拓して新たな顧客を得るためには、かなりの手間と時間がかかります。
また、期待して挑んだのはいいが、結局は市場など存在しないことがわかって撤退する危険性も小さくはありません。
さらに、未知の市場を開拓するためには高い技術力や企画力、そして運も欠かせないものです。ただ、成功した際の見返りは、その分莫大です。
競合がいないので、市場で得られる利益を独占することが可能だからです。また、仮に後から他社が参入してきても、それまでに積み上げたブランド力や技術力などを生かして優位に立ち、いわゆる「先行者利益」を得ることができるでしょう。
ブルー・オーシャンを切り拓くウォーキングポール
GMS(ゼネラル・マーチャンダイズ・ストア/総合スーパー)が介護用品売り場を大きく拡充した2000年代後半、歩行杖の事業が売り上げを伸ばし、シナノの業績が回復に向かいました。
笹川スポーツ財団の「スポーツライフに関する調査報告書」によると、20歳以上の日本人で週1回以上散歩・ウォーキングをしている人は1996年で13.6%、推計人口は1306万人でした。この数字は年々高まっていて、2022年には実施率36.8%、推計人口3795万人となっています。
今では、実に日本人の3人に1人以上がウォーキングを楽しんでいるわけです。これは、きわめて大きな市場だと言えます。


















