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【独占インタビュー】マンダム争奪戦を創業家出身会長に聞く、MBO価格を引き上げの理由、CVC案とKKR案の違い、TOB成立後の展望

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西村元延(にしむら・もとのぶ)/1951年生まれ。77年マンダム入社、84年取締役、87年常務取締役、90年副社長、95年社長。2021年から現職(撮影:ヒラオカスタジオ)
2025年9月にMBO(経営陣による買収)を公表したマンダム。プライベート・エクイティファンドのCVC・キャピタルパートナーズと創業家が最初に提示したTOB価格は1960円だった。
この価格に異議を唱えたのが旧村上ファンド系の投資会社や、村上世彰氏の娘の野村絢氏らだった。野村氏らはマンダム株を市場で買い集め、株価は急上昇していった。
野村氏らへの対抗策として、マンダム側は買収防衛策の導入を決めた。その後、創業家とCVCはTOB価格を2520円に引き上げ、野村氏らもTOBに応募する意向を示したため、いったんはTOBが成立すると思われた。
しかし、話はそこで終わらなかった。買収防衛策の一環で実施したマーケットチェックにアメリカの大手PEファンド、KKRが参戦してきたからだ。KKRは25年12月に法的拘束力のない提案をマンダム側に通知、26年1月には3100円というTOB価格を提示した。
これに対して、CVCと創業家は1月28日にTOB価格を2600円に、さらに2月9日には3105円に引き上げることを発表した。マンダムの特別委員会と取締役会は、CVC側の提案に賛同すること、KKRには提供した秘密情報を破棄するよう通知したことを公表した。
一連の攻防を経てマンダムの時価総額は1500億円超と膨らんだ。前25年3月期の売上高は761億円、純利益は18.5億円であり、MBOが成立したとしても経営の舵取りには多くの課題を抱えることとなる。
5カ月間にわたる攻防の引き金を引いた、創業家は一連の経緯をどのように考えているのか。マンダムの会長で、創業4代目である西村元延氏を直撃した。

プロセスを終わらせようと決めてくれた

――本日、TOB価格をKKRの提案より高い3105円まで引き上げましたね。

この5カ月間、この件に関わった社員は長時間の勤務が続いており、従業員も不安な状態が続いている。本来の目的である企業価値向上に向けてやりたいことは山ほどあるので、早くそちらに集中できる状況に持っていきたい。

また、私どもの特別委員会は、非常に客観的に公平性を堅持しながらやってくれており、ここで一応プロセスを終わらせようということを決めてくれた。

(TOB価格を引き上げたことで)経営のハードルが上がっていることは事実だ。それでも、方向性が見えてきたことはよいことだ。

――改めて、そもそもなぜMBOが必要だったのでしょうか。

世の中の変化が最大の理由だ。マンダムはアジアの拠点の歴史が古く、古いがゆえの悩みがある。1958年に進出したフィリピンが一番古く、その次がインドネシアだ。最初は土地を買って工場を建てて物を作ることはできても、商品をどう消費者に届けるかという問題があった。

そこで当時、お世話になったのが華僑だ。彼らは大変力があって、1万7000を超えるような島々、東西5000kmの中に2億8000万人ぐらい住んでいるインドネシアの隅々までうちの商品が供給されている。

しかし、いわゆるライブコマースのようにネットを活用した販売網を拡大していくうえでは課題も感じていた。ECの比率が上がっていく中、既存の販売網との関係が深いだけに、現地の社長も(改革に)踏み込みづらい側面があった。

投資ファンドのCVCは、現地での消費財に対する投資事例もよく知っているし、人的なネットワークも持っている。ドラスティック(劇的)に変えてしまうのではなく、うちの歴史も理解してもらいながら、われわれが現在やっているよりも幅の広い選択肢を得られると考えた。

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