中国鉱業大手、南米のリチウム資源開発に初参入 車載電池向けリチウム需要急増の商機うかがう

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紫金鉱業が開発権を買収する「3Q塩湖プロジェクト」は、商業生産に向けたフィージビリティースタディーの段階にある(写真はネオ・リチウムの公表資料より)

中国の国有鉱業大手の紫金鉱業が、海外のリチウム資源の買収に乗り出した。アルゼンチンの「3Q塩湖プロジェクト」の独占開発権を持つカナダ企業、ネオ・リチウムの発行済み株式を1株当たり6.5カナダドル(約582円)で、すべて現金で買い取る。支払い総額は約9億6000万カナダドル(約859億円)に上る見込みだ。10月8日、ネオ・リチウムが投資家向けの情報開示で明らかにした。

3Q塩湖プロジェクトは、リチウムを豊富に含む塩湖がアルゼンチン国内で最も多くあるカタマルカ州で、約1万6000万ヘクタールの塩湖群を開発するものだ。同種のプロジェクトの中では、リチウム資源の量・品位ともに世界最高レベルとされている。

ネオ・リチウムのウェブサイトの説明によれば、3Q塩湖プロジェクトは目下、本格的な商業生産に備えたフィージビリティースタディーの段階にある。計画では、リチウムイオン電池向けの高純度の炭酸リチウムを年間2万トン生産し、最終的には生産能力を同4万トンに引き上げるとしている。

中国のリチウム相場は年初の3.6倍

紫金鉱業がリチウム資源の開発に参入するのは今回が初めて。同社は金の採掘・精錬を主力に、銅、亜鉛、銀、鉄などさまざまな金属資源の開発を手がけている。2020年の売上高は1715億元(約2兆9790億円)。そのうち金関連事業の比率が61.32%、銅関連事業が19.35%を占めている。

同社がネオ・リチウムの買収に動いた背景には、中国の「新エネルギー車」市場の急成長がある。今年1~8月の中国国内の新エネルギー販売台数は、前年同期の2.9倍の179万9000万台に達した。それに伴い、車載用リチウムイオン電池の需要が急増しているのだ。

(訳注:新エネルギー車は中国独自の定義で、電気自動車[EV]、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)

本記事は「財新」の提供記事です

だが、電池の生産に不可欠なリチウムは需要に供給が追いつかず、価格が急騰している。電池向けの炭酸リチウムの相場は、10月8日時点の中国国内市場の平均価格が1トン当たり約18万元(約313万円)。これは2021年初頭の1トン当たり約5万元(約87万円)の実に3.6倍だ。

(財新記者:羅国平)
※原文の配信は10月9日

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