中国の車載電池最大手の寧德時代(CATL)が、南米アルゼンチンのリチウム塩湖の資源開発権を、先に契約していた別の中国企業から「奪取」したことがわかった。この塩湖の開発権を持つカナダ企業のミレニアル・リチウムが、9月28日に発表した。
ミレニアル・リチウムは、アルゼンチンにおいて「パストス・グランデス」と「カウチャリ ・イースト」という2つのリチウム塩湖の開発権を保有する。同社は7月16日、自社の100%の株式を最大3億5300万カナダドル(約310億6000万円)で中国のリチウム大手、贛鋒鋰業(ガンフォンリチウム)に売却する契約に署名していた。
ところがCATLは9月8日、ミレニアル・リチウムに対してガンフォンリチウムより6.8%高い3億7700万カナダドル(約331億7200万円)の買収金額を提示。さらに、ガンフォンリチウムへの違約金1000万ドル(約11億1350万円)も負担すると申し出て、身売り先の変更を求めた。そして、ミレニアル・リチウムは最終的にこの提案を受け入れたのだ。
資源の品位より開発スピードを重視か
公開情報によれば、パストス・グランデス塩湖のリチウム資源量は炭酸リチウム換算で412万トン、リチウム濃度は1リットル当たり427ミリグラムとされる。一方、カウチャリ・イースト塩湖はまだ資源調査の初期段階にあり、(アルゼンチン政府に対して)ボーリング調査の許可を申請中だ。
ちなみに、ガンフォンリチウムが同じアルゼンチンで開発を手がけるカウチャリ・オラロス塩湖は、炭酸リチウム換算の資源量が2458万トン、リチウム濃度は1リットル当たり592ミリグラムとされる。それに比べれば、パストス・グランデス塩湖のリチウム資源の品位はベストとは言えない。
にもかかわらず、CATLがミレニアル・リチウムの高額買収に動いた理由は、パストス・グランデス塩湖の開発がすでに本格生産の一歩手前まで進んでいることにありそうだ。ミレニアル・リチウムは同塩湖のフィージビリティスタディを2019年に終え、2021年4月にはパイロットプラントで高純度の炭酸リチウムの生産に成功した。同社は2021年末までに実用プラントの建設許可を取得し、2023年末から本格生産を始める計画だ。
(財新記者:蘆羽桐)
※原文の配信は9月29日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら