車載電池世界最大手の中国の寧徳時代新能源科技(CATL)は8月25日、2021年1~6月期の決算を発表した。売上高は前年同期の2.34倍の440億7500万元(約7480億円)、純利益は同2.31倍の44億8400万元(約761億円)と、大幅な増収増益を達成した。
注目すべきなのは、同社の海外売上高が1~6月期は約100億元(約1697億円)と、総売上高の2割を占めたことだ。CATLは近年、海外の自動車大手からの受注を順調に増やしてきた。顧客リストにはBMW、ダイムラー、フォルクスワーゲン(VW)の「ドイツ御三家」や、日本のトヨタ自動車、韓国の現代自動車(ヒュンダイ)、イギリスのジャガー・ランドローバー、スウェーデンのボルボ・カーなどが名を連ねる。
これらの自動車大手は(現在もエンジン車が主力であり)、電気自動車(EV)の開発では新興の専業メーカーに遅れをとっていた。新型車の開発には一定の年月を要する。CATLは(自動車メーカーと)車載電池の供給契約を交わしても、車両が量産・販売される段階にならないと売り上げは発生しないため、成果が決算に反映されるまでタイムラグがある。
CATLが海外販売を開始したのは2018年。その年の海外売上高はわずか10億元(約170億円)だった。しかし、2年後の2020年には約8倍の79億元(約1341億円)に急拡大。さらに2021年1~6月期は、半年で2020年の通期実績を上回った。
欧州でのEV販売急増が追い風に
海外販売の好調の背景は、ここ数年、欧州市場でEVの販売が急速に伸びていることだ。国際エネルギー機関(IEA)の調査レポートによれば、2020年に世界で販売されたEVは約300万台。そのうち欧州市場での新規登録台数が140万台を占め、初めて中国を抜いた。なお、同年の中国の新規登録台数は120万台だった。
現時点では、欧州には有力な車載電池メーカーが存在しない。欧州の自動車大手に電池を供給するサプライヤーは中国、日本、韓国のメーカーに集中し、なかでも中国企業同士が激しい受注競争を繰り広げている。CATLのほかにも、EV大手の比亜迪(BYD)傘下の弗迪電池や新興電池メーカーの蜂巢能源科技(SVOLT)などが、(受注拡大を狙って)相次いで欧州での工場建設に乗り出している。
海外販売の拡大とともに、CATLはグローバル市場の占有率も一段と上昇している。韓国の調査会社SNEリサーチのデータによれば、2021年1~6月に世界で生産されたEVに搭載された電池は容量ベースで114GWh(ギガワット時)と、前年同期の2.55倍に増加した。CATLはそのうち34.1GWhを占め、市場シェアは世界の3分の1に迫る29.9%に達した。
(財新記者:鄭麗純)
※原文の配信は8月26日
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