中国の独占禁止法の執行機関である中国国家市場監督管理総局(市場監管総局)は10月8日、中国の生活サービス大手の美団(メイトゥアン)が同社のネット出前サービスを利用する飲食店に対して求めた「二者択一(取引先に対して、競合他社とは取引しないよう迫る行為)」を独禁法違反と認定し、同社に対する行政処分を発表した。
処分の決定書によれば、市場監管総局は美団に対して違法行為の停止を命じるとともに、独占契約の保証金として飲食店から徴収した12億8900万元(約223億円)の全額返還、および34億4200万元(約595億円)の罰金の支払いを科した。
市場監管総局が、美団に対する調査着手を宣言したのは4月26日のこと。美団は2018年以降、中国のネット出前サービス市場における支配的な地位を背景に、自社のサービスを利用する飲食店に対して独占契約の締結を求め、公正な市場競争を排除・制限したとの疑いからだ。
そして調査の結果、美団は独占契約の締結時に保証金を徴収したり、データ分析やアルゴリズムなどの技術的手段を使ったりすることで、「二者択一」を飲食店に対して事実上強要していたと判断。これはサービスを利用する飲食店および消費者の合法的権利を侵害しており、独禁法に定められた「優越的地位の濫用」にあたるとした。
ネット出前の配達員の権利保護も指導
市場監管総局が今回科した罰金は、美団の2020年の国内売上高である1147億4800万元(約1兆9840億円)の3%に相当する。中国の独禁法は優越的地位の濫用に対して2種類の罰則を定めており、その1つは違法所得の没収、もう1つは前年度の売上高の1~10%に相当する罰金だ。つまり、美団が科された3%は、罰金の水準としては低めだったことになる。
なお、市場監管総局は上述の行政処分に加えて、美団の経営に対する行政指導も行った。ネット出前サービスを利用する中小飲食店だけでなく、料理の配達を担う配送員についても合法的権利の保護を強化するため、事業体制を全面的に見直すよう指導。さらに、今後3年間にわたって法令順守の自己検査報告書を市場監管総局に提出することも求めた。
今回の処分および指導を受けて、美団は「真摯に受け止め、処分と指導の内容を着実に履行していく。全面的な自己検査と(事業体制の)改善に取り組み、『二者択一』を根絶する」とのコメントを発表した。
(財新記者:銭童)
※原文の配信は10月8日
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