ショート動画アプリTikTok(ティックトック)の運営企業として知られる中国のアプリ開発大手の字節跳動科技(バイトダンス)が、不動産仲介事業に本格参入する兆しを見せている。9月下旬、不動産仲介大手「麦田房産(マイティエンファンチャン)」の子会社の法人登記が更新され、バイトダンスの傘下企業に買収されたことが明らかになった。
麦田房産は北京に本社を置き、高級マンションの賃貸・販売の仲介を主力事業にしている。同社のウェブサイトによれば、麦田房産は900を超える直営の実店舗網や不動産仲介の資格を持つ1万4000人余りの社員を擁し、現時点ではその大部分が北京に集中している。
中国工商行政管理局の法人登記情報によれば、麦田房産の子会社の「福旺房地産経記」において9月29日付で株主の変更手続きが行われ、株式の100%が「好房有幸信息技術」という企業に譲渡された。この企業は、実はバイトダンスが間接的に支配する系列会社だ。
オンラインとリアルを垂直統合との見方も
「今回の取引は、バイトダンスが不動産仲介業の営業ライセンスを取得するのが目的だった。麦田房産の店舗の営業に影響はない」。財新記者の取材に対して、麦田房産の担当者はそう説明した。
だが市場関係者の間では、バイトダンスが不動産仲介事業に本格参入するための準備の一環と見る向きが少なくない。あるアナリストは、「営業ライセンスの取得が唯一の目的ではないはずだ。バイトダンスと麦田房産はすでに業務提携しており、前者が後者を買収する可能性もある」と読む。
バイトダンスが不動産仲介ビジネスに足がかりを築いたのは2年前のことだ。2019年8月、スマートフォン向けの不動産総合情報アプリ「幸福里(シンフーリー)」の運営会社を買収して完全子会社化した。現時点では、幸福里がバイトダンスの不動産仲介事業の中心になっている。
しかし、ここ2カ月ほどの間にバイトダンスの複数の子会社が法人登記情報の変更を行い、事業内容に不動産仲介業務を追加した。この動きについて前出のアナリストは、バイトダンスがすでに不動産仲介事業への本格参入を決定し、「(オンラインとリアル店舗の)事業の垂直統合をもくろんでいる可能性がある」と指摘した。
(財新記者:牛牧江曲)
※原文の配信は10月9日
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