中国企業が経営の「ペルー銅山」操業中断の事情 地元住民が環境問題に抗議し輸送路を封鎖

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ラスバンバス銅山の操業中断は五鉱資源にとって大きな痛手だ。写真は同銅山の選鉱プラント(五鉱資源のウェブサイトより)

中国の非鉄金属大手の五鉱資源は2021年12月16日、純利益の8割近くを稼いできた南米ペルーのラスバンバス銅山の操業を中断すると発表した。このニュースが流れるやいなや、香港証券取引所に上場している同社の株価は(12月15日の終値比で)一時12%急落。その後は値を戻したものの、16日の終値は前日比5.35%安の2.3香港ドル(約33.6円)で引けた。

ラスバンバス銅山はペルー南部に位置し、年間産出量が世界第9位の大型銅山だ。五鉱資源の発表によれば、操業を中断するのは12月18日からで、2016年の採掘開始以来初めての事態だという。操業再開の見通しは立っておらず、同社の業績への影響が長期化する可能性もある。

操業中断の原因は、地元住民との紛争の収拾に失敗したことだ。住民らは鉱石を輸送するトラック(から飛散する粉塵)による農産物の汚染への対応や経済的保障を求めており、銅山に通じる道路にバリケードを築いて往来を遮断した。五鉱資源は住民との話し合いを重ねたが、事態を打開できず、銅山の操業継続に必要な資材が底をついてしまった。

スイス資源大手から開発権を買収

今回の道路封鎖は、ペルーのクスコ州チュンビビルカス郡の住民が2021年11月に開始した。しかし、環境問題をめぐる鉱山会社と地元住民の紛争はこれが最初ではなく、ペルーでは2015年ごろから頻発している。

本記事は「財新」の提供記事です

ペルーは同じ南米のチリに次ぐ世界第2位の銅産出国だ。ラスバンバス銅山はペルー第4位の規模で、露天掘りによる可採埋蔵量は720万トンに上る。五鉱資源は2014年、中国の国有投資会社など2社と共同で総額58億5000万ドル(約6660億円)を投じ、スイス資源大手のグレンコア・エクストラータが保有していた開発権を買収した。

その後、ラスバンバス銅山は五鉱資源の最大の収益源に成長。2021年1~6月期決算では、純利益の78%に相当する3億1200万ドル(約355億円)の利益を同社にもたらしていた。

(財新記者:蘆羽桐)
※原文の配信は2021年12月17日

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