中国のスマートフォンメーカーが「独自開発」の半導体を続々とお披露目している。スマホ大手のOPPO(オッポ)は2021年12月14日、画像処理専用のニューラル・プロセシング・ユニット(NPU)の「MariSilicon(マリシリコン)X」を発表した。このチップを旗艦スマホ「Find(ファインド)X」シリーズの新製品に搭載し、2022年1~3月期に発売する。
初の自社開発チップにNPUを選んだ理由について、OPPOのプロダクト担当シニアディレクターを務める姜波氏は次のように述べた。
「スマホの動画撮影には、人工知能(AI)による膨大な演算処理能力と優れた省電力性能(の両立)が必要だ。しかし、現時点で入手できるチップでは(OPPOの要求水準に)対応できないため、自社開発を決断した」
OPPOの説明によると、同社が開発したAIノイズ低減アルゴリズムを実行するケースでは、MariSilicon Xはアメリカのクアルコムのスマホ用ハイエンドSoCである「Snapdragon(スナップドラゴン)888」の20倍の処理速度を発揮し、なおかつ消費電力を50%以上減らせるという。
(訳注:SoCはシステムオンチップの略称。CPU、通信モデム、画像処理回路などの基幹機能を1つのチップにまとめたもの)
最終目標は独自SoCの実現
OPPOだけではない。2021年3月には小米(シャオミ)が、同年9月にはvivo(ビーボ)が、それぞれ独自開発したスマホ用の画像処理半導体を発表した。OPPOが開発したNPUを含めて、これらのチップは他社製のSoCと組み合わせて搭載することでスマホの機能を拡張できる。また、開発のハードルはSoCより低いとされている。
とはいえ、OPPOの野望はNPUの開発だけにとどまらない。財新記者が半導体業界の複数の関係者に取材したところ、同社はすでに(次世代の微細加工技術である)3ナノメートルのプロセス技術を採用する独自SoCの開発に着手していることが明らかになった。
「OPPOの半導体開発部隊はすでに2000人超の規模になっている。エンジニアたちは多数の大手半導体メーカーから移籍してきており、開発経験も豊富だ」。同社の内情に詳しい関係者は、そう証言した。
この関係者によれば、OPPOの半導体開発の最終目標は独自SoCを手にすることだ。しかし現時点では、知的財産権のライセンス取得など(SoCの開発に不可欠な)事前準備がまだ完了していない。また、OPPOが組織としての開発経験を積む必要もあるため、「まずは小手調べに、難易度が相対的に低いNPUの開発からスタートした」という。
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は2021年12月15日
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