中国「ハイテク投資ファンド」が国内回帰の事情 智路資本が韓国マグナチップの買収を断念

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海外で中国資本に対する警戒感が高まるなか、智路資本は投資戦略の見直しを進めている(写真は同社ウェブサイトより)

韓国の中堅半導体メーカーのマグナチップ・セミコンダクターは2021年12月13日、中国のハイテク投資ファンドの智路資本(ワイズロード・キャピタル)が同社の買収計画を撤回したと発表した。アメリカの対米外国投資委員会(CFIUS)の認可を得られる見通しが立たないことを、その理由としている。

マグナチップは2021年3月26日、智路資本が総額14億ドル(約1590億円)で同社を買収する提案を受け入れると発表していた。マグナチップの源流は韓国の半導体メモリー大手、SKハイニックスの非メモリー部門だ。2004年に旧ハイニックス半導体から分離され、現在はスマートフォンやテレビ向けの有機ELディスプレーパネルの駆動用半導体を主力にする。

智路資本によるマグナチップ買収は、合意の発表直後から波乱に見舞われた。韓国国内でマグナチップの中核技術が中国に流出することへの懸念が高まり、買収計画を審査するよう韓国政府に求める声が上がったのだ。

追い打ちをかけたのが、アメリカ財務省による突然の介入だった。同省は2021年6月、智路資本とマグナチップに対してCFIUSによる買収計画の審査を受けるよう要求した。

紫光集団の経営再建に1兆円投資

智路資本はプライベートエクイティファンドの建広資産管理(JACキャピタル)とともに、中国のハイテク産業振興を目的に結成された組織である中関村融信金融信息化産業連盟(融信聯盟)の傘下にある。融信聯盟はこれまで、智路資本を通じて海外企業の積極買収を続けてきた。

しかしマグナチップの買収断念に象徴されるように、海外で中国資本に対する警戒感が強まるなか、融信聯盟は投資戦略の重点を中国国内に回帰させつつある。

本記事は「財新」の提供記事です

2021年12月1日、台湾の半導体関連大手の日月光投資控股(ASE)は、中国本土に保有する4カ所の半導体封止・検査工場を総額14億6000万ドル(約1658億円)で智路資本に売却すると発表した。

9日後の12月10日には、企業破産法に基づく破産・再編手続きが進められている国有半導体大手、紫光集団の破産管財人が、経営再建のスポンサーとして智路資本と建広資産管理を中心に組成されたコンソーシアムを選び、契約を結んだと発表した。コンソーシアムは総額600億元(約1兆698億円)を投じて、紫光集団の経営権を一括取得する計画だ。

(財新記者:張而弛)
※原文の配信は2021年12月14日

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