リチウムの資源量が世界最大の南米のチリは、金属リチウム換算で40万トン相当の資源開発権の国際競争入札を実施する。10月13日、チリ鉱業省が国内外の投資家に向けて入札の概要を発表した。
アメリカ地質調査所(USGS)の最新データによれば、チリのリチウムの確認埋蔵量は920万トンに上り、世界のリチウム資源の44%を占める。チリ政府はこれまで、自国の政府機関および国有企業にのみ、その開発を認めてきた。
今回の国際入札のトピックは、チリ政府がリチウム資源の開発を加速するため、海外企業に広く門戸を開く方針に転換したことだ。40万トンの開発権は、8万トン毎の5つのプロジェクトに分けて入札を募る。落札した企業は7~9年かけて地質探査や採掘施設の建設を行い、その後20年間の鉱山運営が認められる。
長年の自国優先で開発スピードに後れ
チリ政府の方針転換の背景には、最近のリチウム相場の急上昇があると見られている。
2021年に入って中国や欧州で電気自動車(EV)の販売が急拡大し、車載電池の製造に欠かせないリチウムの需要増加に拍車がかかった。非鉄金属の情報サービス会社である上海有色網のデータによれば、電池向け炭酸リチウムの市場価格は10月15日に1トン当たり18万9000元(約333万5000円)をつけ、過去10年間の最高値を更新した。これは2021年初頭の約3.5倍の水準だ。
しかしチリでは、政府が長年にわたってリチウム資源の開発を厳しく制限してきたため、(他国に比べて)開発のスピードで後れを取っている。そこで、自国だけではなく海外の事業者の参入を認めることでリチウムの生産拡大を急ぎ、世界的な需要の高まりに応えようとしているのだ。
チリのリチウム資源の対外開放は、中国企業の熱い注目を集めそうだ。南米のリチウム資源に対する中国企業の開発投資は、これまで(チリの隣国の)アルゼンチンに集中していた。
2021年だけでも、車載電池大手の寧德時代新能源科技(CATL)、リチウム製品大手の贛鋒鋰業(ガンフォンリチウム)、非鉄金属大手の紫金鉱業集団や西藏珠峰資源などが、アルゼンチンの開発プロジェクトの買収や資本参加を相次いで発表している。
(財新記者:蘆羽桐)
※原文の配信は10月16日
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