中国のアルミ製品大手の中国忠旺控股は10月15日、同社の経営が深刻な危機に直面していると自ら発表した。香港証券取引所に上場する中国忠旺は、同日付の投資家向け情報開示で「主力子会社である遼陽忠旺精製鋁業および遼寧忠旺集団が、多大な損失によって経営が行き詰まり、すでに自力再建は不可能」であると主張している。
これに先立つ8月30日には、同じく投資家向けの情報開示で「2021年1~6月期の半期決算の開示が(上場基準が定める期限の)8月31日に間に合わない」と発表していた。同日以降、中国忠旺の株式は取引停止が続いており、1~6月期の決算報告もいまだに開示されていない。
中国忠旺のウェブサイトによれば、同社は工業用のアルミ押出型材で世界第2位、アジアでは最大のメーカーだ。2009年5月の上場時には98億香港ドル(約1430億円)の調達に成功し、リーマンショックによる金融危機後の世界最大級のIPO(新規公開株式)として持て囃された。
220万個のアルミ製パレットを不正輸出
ところが、8月30日の取引停止時点の株価は1.68香港ドル(約24.5円)と、上場直後の2009年7月につけた最高値の6分の1未満に低迷。時価総額はわずか91億5500万香港ドル(約1336億円)に落ち込んでいた。投資家の信用を失った原因は、中国忠旺の業績の信憑性に以前から疑義が生じていたからにほかならない。
アメリカの国土安全保障省と内国歳入庁の調査によれば、中国忠旺はアルミ製品に対するアメリカの関税を回避するため、2011年から2014年にかけて220万個のアルミ製輸送用パレットを「用途やユーザーを偽装」して不正に輸出した。この調査に基づき、アメリカ司法省は中国忠旺の行為を「複雑な金融詐欺」と断定し、2019年に起訴していた。
そして8月23日、アメリカ司法省は中国忠旺の創業者の劉忠田氏が関与した6つの企業が関税18億ドル(約2044億円)を脱税したとして、連邦裁判所の陪審員が有罪の評決を下したと発表した。この裁判は12月13日に量刑に関する公聴会を予定している。有罪が確定すれば、これらの企業は巨額の罰金を科せられることになる。
(財新記者:羅国平、于寧)
※原文の配信は10月16日
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