中国のショート動画アプリ大手の快手科技(クワイショウ・テクノロジー)が、2021年2月のIPO(新規株式公開)から1年を待たずして大がかりな人員カットに着手した。財新記者の取材に応じた複数の従業員の証言によれば、今回のリストラはeコマース、コマーシャライゼーション、国際化、ゲームの4大事業部のすべてが対象になっている。
「首切りは2021年末から始まった。人員カットの比率は部門によって違うが、おおむね10%から30%の間だ」と、快手のコマーシャライゼーション事業部のある従業員は話す。また、同事業部内のコンテンツ・コマーシャライゼーション部門に所属する別の従業員は、自分の部門のカット率は20%前後だと明かした。
この従業員によれば、部内のインターン(実習生)は全員が春節(旧暦の正月、今年の元日は2月1日)までにオフィスを去るよう求められ、部内で唯一のデータアナリストも辞職を迫られたという。
財新記者はこれらの事実関係について快手に問い合わせたが、1月6日までの時点で回答は得られなかった。
2021年からユーザー数が伸び悩み
快手の経営陣が人員カットに踏み切った理由について、eコマース事業部のある従業員は次のように解説した。
「社員の大量採用が収益の増加に結び付かなかったためだ。会社は2019年からチームの規模を急膨張させたが、新入社員の多くは(経営陣が)期待したほど実績を上げられなかった。このため社員1人当たりの事業効率が上がらず、(人件費などの)コスト負担が増すばかりだった」
それだけではない。中国では最近、ゲーム、教育、エンターテインメントなどの業界に対する政府の締め付けが強まっている。その影響で広告収入などが伸び悩み、快手の足元の経営は火の車だ。同社の調整後純損失は、2021年1~9月の9カ月間で累計145億1000万元(約2646億円)に達している。これは2020年通期の純損失79億4900万元(約1450億円)の2倍近い赤字額だ。
中国のショート動画アプリは2021年からユーザー数の伸びが鈍化し、飽和に近づきつつある。かつてのように巨額のマーケティング費用を投入して新規ユーザーを上乗せする手法は、もはや効率的とは言えなくなった。
そんななか、快手はライバルの抖音(ドウイン=TikTokの中国国内版)や、微信(ウィーチャット)のショート動画サービスなどとの熾烈な競争を続けながら、いかに経営効率を改善するのか。市場は固唾をのんで見守っている。
(財新記者:関聡、朱昊宇)
※原文の配信は1月6日
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