中国の外貨準備高が増加している。中国国家外貨管理局が発表した最新データによれば、2021年12月末時点の外貨準備高は3兆2502億ドル(約376兆5292億円)に達し、2016年以降の最高値を記録した。外貨準備高の増加は同年10月から3カ月連続で、11月末比では278億ドル(約3兆2206億円)増加した。
その要因について、国家外貨管理局の王春英副局長は「(主要通貨のバスケットに対するドルの強さを示す)ドルインデックスの下落や、資産価格の変化などによるものだ」と記者会見で説明した。
2021年12月は市場参加者のリスク嗜好が回復するなかで、ドルインデックスが前月比0.25%下落した。アメリカでは新型コロナウイルスの(変異株の)感染が再び急拡大しており、一部の投資家にはリスク回避のムードが広がっている。
だが、その一方でリスクを積極的に取りに行く投資家も増えている。中国の先物取引会社、華泰期貨の調査レポートは、このような相反した動きが「リスク回避のためのドル買いをある程度抑制し、ドルインデックスの下落につながった」と分析する。
米FRB利上げで中国資本市場に波乱も
さらに、実需に基づいた貿易や国境を越える資本移動も中国の外貨準備高を押し上げている。証券大手の光大証券のチーフマクロエコノミストを務める高瑞東氏は、最新の国際貨物の動きに着目。中国沿海部の主要貿易港で2021年12月上旬から中旬にかけての貨物取扱量が前年同期比6.4%増加したことから、12月の貿易統計で輸出が顕著に増加すると予想する。
一方、銀行大手の中国民生銀行で(調査部門の)主任研究員を務める温彬氏は、国境を越える資本移動の作用を次のように解説した。
「中国本土の株式市場では2021年12月の外国人投資家の買い越し額が890億元(約1兆6162億円)に達し、同年の月別買い越し額の最高値を記録した。このことも、外貨準備高の穏やかな増加を後押しした」
中国の外貨準備高は2022年も増え続けるのだろうか。それは中国自身もさることながら、アメリカの中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)の動向に左右されるところが大きい。投資銀行大手の中国国際金融(CICC)のチーフエコノミストを務める彭文生氏は、調査レポートのなかでこう警鐘を鳴らす。
「FRBが(インフレ対策のため)金融引き締めに乗り出せば、米中間の金利差の縮小により(中国から)資金が流出し、資本市場の混乱や資産価格の下落を招く可能性がある。もしそうなれば、中国政府の金融政策において金融緩和の余地が狭まるかもしれない」
(財新記者:王石玉)
※原文の配信は1月7日
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