中国・西安「ロックダウン」で半導体不足に拍車も サムスンとマイクロンの工場が操業中断の危機

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西安市のロックダウンが長期化すれば、その影響は世界の半導体市場に波及しかねない。写真はマイクロン・テクノロジーの西安工場(同社ウェブサイトより)

中国半導体産業の集積地の1つとして知られる陝西省西安市。そこに進出している韓国のサムスン電子とアメリカのマイクロン・テクノロジーの工場が、操業中断の危機に瀕している。新型コロナウイルスの現地での局地的流行を受けて、西安市政府が2021年12月23日から全市のロックダウンに踏み切ったためだ。

「現時点では市民の大部分が自宅から出ないように求められている。そのため半導体工場の従業員の交代が困難になり、日々の操業やマネジメントに支障が生じている。一般従業員の多くは工業団地内に居住している(ので影響が相対的に小さい)が、技術者や管理職は市街地に散らばって住んでおり、必要な時に出勤するのが難しい」。1月5日、財新記者の取材に応じた西安の半導体業界の関係者は、ロックダウンの影響についてそう証言した。

半導体の生産ラインのほとんどは、24時間操業を前提に構築されている。仮にラインが停止すれば(仕掛品が台無しになるなど)甚大な損失が生じかねない。サムスンとマイクロンの西安工場は、生産ラインの高度な自動化と市政府の手厚いサポートに支えられ、現時点では操業がストップするまでには至っていない。

サムスン西安工場の生産能力は全社の4割

しかしロックダウンがさらに長期化した場合、サムスンの工場は(人手不足や物流の遅延などにより)チップの減産に追い込まれる可能性が高い。一方、マイクロンの工場は(西安以外の工場で製造された)半導体チップをパッケージに封止して検査を行う「後工程」に特化している。このため(自動化率が高い前工程より)相対的に多くの従業員を生産ラインに配置する必要があり、ロックダウンの影響がより大きいと見られている。

サムスンとマイクロンの両社は半導体メモリーの世界的大手だ。調査会社の集邦諮詢(トレンドフォース)のデータによれば、グローバル市場における2021年7~9月期のシェアは、DRAMではサムスンが44.0%、マイクロンが22.9%。NAND型フラッシュメモリーではサムスンが34.5%、マイクロンが10.4%を占めていた。

本記事は「財新」の提供記事です

サムスンは西安にNAND型フラッシュメモリーの大型工場を2つ保有する。財新記者の取材によれば、2工場の生産能力はサムスン全社の生産能力の42%に相当し、単純計算では世界市場の15%前後を占める。一方、マイクロンの西安工場は同社製DRAMの後工程を担う最大級の拠点の1つだ。両社の工場が操業中断に追い込まれた場合、世界的な半導体不足に拍車がかかるおそれがある。

(財新記者:翟少輝、王志敏)
※原文の配信は1月6日

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