中国のネット配車サービス最大手の滴滴出行(ディディ)は2021年12月30日、監査法人による会計監査を経ていない同年7~9月期の決算報告書を発表した。同年6月末にアメリカのニューヨーク証券取引所に上場した後、ディディが業績を開示するのは今回が初めてだ。
決算報告書によれば、2021年7~9月期売上高は426億7500万元(約7696億円)。前年同期より1.67%減少し、直前の4~6月期比では11.48%の2桁減を記録した。7~9月期の調整後EBITA(利払い・税引き・償却前損益)は75億元(約1352億円)の損失を計上。赤字額が前年同期の1700万元(約3億円)から大幅に拡大した。
ディディはさまざまな事業を手がけており、それらは中国国内の配車サービス(ネット配車、タクシー、運転代行、相乗りサービスなど)、国際事業(海外での配車サービスやフードデリバリーなど)、その他事業(シェアサイクル、個人向け自動車リースおよびメンテナンス・サービス、貨物輸送、金融サービスなど)という3分野に大別される。
そのうち、総売上高の9割以上を稼いでいるのが中国国内の配車サービスだ。2021年7~9月期の国内配車サービスの売上高は390億元(約7033億円)と、前年同期より5%減少、直前の4~6月期比では12.9%減少した。
ユーザーもドライバーも離れる悪循環
国内配車サービスの不振は、中国政府の規制強化の影響が大きい。ディディがニューヨークに上場した直後の2021年7月2日、国家インターネット情報弁公室は同社に対して国家安全法およびサイバーセキュリティー法に基づく審査を行うと発表。その後、同弁公室はディディのアプリに個人情報の収集・使用に関する法令違反があったとして配信停止を命じた。
当局の規制強化は、ディディの中核事業である配車サービスに深刻な打撃を与えた。決算報告書によれば、2021年7~9月期の国内配車サービスは2900万元(約5億円)の営業損失を計上。前年同期の21億2000万元(約382億円)の黒字から赤字に転落してしまった。
ディディのネット配車事業の内情に詳しい関係者によれば、中国政府がギグワーカーを含む労働者の権益を保護する姿勢を打ち出したことも、苦況に追い打ちをかけている。
「(配車指示を請け負う)ドライバーの増員が難しくなったことで、ユーザーがクルマを呼んでもなかなか来なくなり、顧客が競合他社の配車サービスに流出してしまった。ユーザーのディディ離れで配車オーダーが減り、ドライバーもディディを離れる悪循環に陥りかねない」
(財新記者:銭童)
※原文の配信は2021年12月30日
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