中国の製薬大手の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)は2021年12月31日、監査法人による会計監査を経ていない2021年1~6月期の決算報告書を開示した。そこに記載された業績から、新型コロナウイルス用ワクチンが同社にもたらした莫大な利益が明らかになった。
決算報告書によれば、科興控股生物技術の2021年1~6月期の売上高は110億ドル(約1兆2659億円)に達した。前年同期の売上高は6770万ドル(約78億円)であり、わずか1年で162倍に急増した。また、純利益は86億ドル(約9897億円)と、前年同期の870万ドル(約10億円)の赤字から巨額の黒字に転換した。
業績の劇的拡大の背景について、同社は「新型コロナ用不活性化ワクチンの販売増加、中国国内での新型コロナ封じ込めに伴うその他のワクチンの接種再開、ワクチン以外の製品の販売増加などによるもの」と説明している。なお、科興控股生物技術は新型コロナワクチン単独の売上高は開示しなかった。
コロナワクチンの販売はピークアウトへ
科興控股生物技術が開発した「克爾来福(CoronaVac)」は、中国の製薬会社が実用化した2種類の新型コロナ用不活性化ワクチンのうちの1つだ。2021年2月5日、国家薬品監督管理局が中国国内市場での販売を承認した。
克爾来福は、国有製薬大手の中国医薬集団(シノファーム)が開発して2020年12月21日に承認された「衆愛可維(Covilo)」と並んで、中国で最も多く接種されている新型コロナワクチンだ。中国だけでなく全世界に向けて出荷されており、科興控股生物技術の決算報告書によれば、2021年12月末までの総出荷量は25億回分を超えた。
ただし同社は、「2021年1~6月期の売上高は将来の販売の趨勢を表すものではない」と、決算報告書のなかで(投資家の過度の期待に)クギを刺している。新型コロナの世界的大流行はやがて沈静化に向かい、他社製ワクチンとの競争も激化することから、克爾来福の売り上げは減少すると予想しているためだ。
(財新記者:陳曦)
※原文の配信は1月1日
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