中国では新型コロナウイルスの防疫対策が常態化するなか、地域をまたいだ旅行や出張の需要が回復。それを追い風に、中国の国有鉄道である中国国家鉄路集団(国鉄集団)の業績が改善している。
1月4日に開催した年次経営会議で、同社は2021年の売上高が前年比13.4%増の1兆1400億元(約20兆6454億円)に達したと明らかにした。ただし、2021年初めに掲げた目標値の1兆1700億元(約21兆1887億円)にはわずかに及ばなかった。
増収を牽引したのは旅客需要の回復だ。2021年の旅客輸送人員は延べ25億3000万人と前年比16.8%増加した。だが売上高と同様に、国鉄集団の目標の延べ31億1200万人には届かなかった。新型コロナの局地的流行が中国各地で反復し、当初期待した水準まで需要が伸びなかったためだ。
一方、貨物輸送は2017年からの拡大基調が2021年も続いた。トラック輸送から(より環境負荷が小さい)鉄道輸送への「モーダルシフト」を中国政府が政策的に支援していることや、(石炭などの)コモディティ輸送の旺盛な需要が背景だ。国鉄集団の2021年の貨物輸送量は前年比4%増の37億2000万トンに達し、年初の目標値を若干ながら上回った。
新線建設投資は過去8年で最低
1月4日の経営会議では、2021年の純損益や資産負債比率などの経営指標は開示されなかった。なお、国鉄集団は2021年1~9月に累計698億元(約1兆2640億円)の巨額の赤字を計上。同年9月末時点の負債総額は5兆8400億元(約105兆7624億円)、資産負債比率は66.19%に上る。
同社が公表した2022年の経営計画によれば、旅客輸送人員と貨物輸送量はいずれも前年より増加を見込んでいる。旅客輸送人員の目標値は前年比約2割増の延べ30億3800万人。これは(新型コロナ発生前の)2019年の実績値である延べ35億7900万人の85%に相当する水準だ。貨物輸送量の目標値は前年比2.1%増の38億400万トンを掲げた。
新路線建設などの投資面に関しては、2021年の中国国内での固定資産投資額(設備投資額に相当)は7489億元(約13兆5626億円)と前年比4.22%減少し、過去8年間の最低額に落ち込んだ。2021年に開通した新路線の総延長は前年比14.7%減の4208キロメートル。そのうち高速鉄道が半分強の2168キロメートルを占めた。
(財新記者:白宇潔)
※原文の配信は1月4日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら