中国で太陽光や風力などの再生可能エネルギーによる発電が大きく増加している。エネルギー政策を所管する国家能源局が2021年12月24日に発表したデータによれば、同年1月から11月までの再生可能エネルギーによる発電量は1兆355億7000万kWh(キロワット時)に達し、前年同期比で33%増加。これは同じ期間の国内総消費電力の13.8%に相当する。
その内訳を見ると、風力発電が前年同期比40.8%増の5866億7000万kWhと伸び率が最も大きかった。太陽光発電は同24.3%増の3009億kWh、バイオマス発電は同23.4%増の1480億kWhだった。
発電量急増の背景には積極的な設備投資がある。2021年11月末時点の風力発電の設備容量は前年比29%、太陽光発電は同24%増加。両者の設備容量は合計5億9200万kW(キロワット)に達し、中国の総発電設備容量の25.5%を占めるに至った。
電力の安定供給の維持が切実な課題に
中国政府は「二酸化炭素(CO2)の排出量を2030年までに減少に転じさせ、2060年までにカーボンニュートラルを実現する」という国家目標を掲げている。再生可能エネルギーによる発電量は、今後さらに増加していく見通しだ。国有電力大手の傘下にあるシンクタンクの専門家は、「国内の電力消費量に占める再生可能エネルギー発電の比率は第14次5カ年計画(2021~2025年)の期間中に20%に近づく」と予想する。
再生可能エネルギー発電の急成長は、中国の電力業界に新たな課題も突きつけている。風力発電や太陽光発電は気象条件などによる出力の変動が大きい。総発電量に占める再生可能エネルギーの比率が低かった頃は、火力発電などの出力を調整することにより、日々の電力供給なかで再生可能エネルギーとのバランスをいかに取るかが主要な課題だった。
しかし再生可能エネルギーの比率がここまで大きくなると、発電量のバランスがひとたび崩れれば、地域レベルでの電力供給の不安定化や大規模停電を引き起こしかねない。「2020年末以降、(異常気象などが原因で)風力や太陽光による発電が1週間以上ストップするケースが各地で起きている。そんななか、電力の安定供給をいかに維持するかが、これまで以上に切実な課題になっている」。前出の専門家はそう指摘する。
(財新記者:趙煊)
※原文の配信は、2021年12月26日
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