中国の投資銀行大手の中国国際金融(CICC)は3月23日と24日の両日、「カーボンニュートラル」を主題にしたフォーラムを北京で開催。それに合わせて、中国のマクロ経済や産業に与える影響を分析した研究レポートを発表した。
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量が差し引きゼロになる状態を意味する。中国の習近平国家主席は2020年9月、国連総会でのビデオ演説で「2060年までにカーボンニュートラルの実現を目指す」と宣言した。それを機に、中国では新たな国家目標に対応する動きが活発になっている。
「今後40年の間に、カーボンニュートラルの推進は総額60兆元(約1000兆円)の関連投資を生み出す。そのうち太陽光発電への投資が20兆元(約333兆4000億円)を占めるだろう」。CICCの研究レポートをまとめた主席アナリストの劉俊氏は、そう予想する。
レポートによれば、太陽光、風力、水力、原子力などの「カーボンフリー電源」が中国のエネルギー消費構造に占める比率は2060年には70%に達し、2020年比で54.1ポイント増加するという。
水力、風力、原子力は補助的な役割に
電力分野でカーボンニュートラルを実現する手段として、劉氏は太陽光発電と蓄電システムの組み合わせが最適解であると分析。そのため、中国国内の太陽光発電の設備容量は2060年には現在の40倍の9500GW(ギガワット)に拡大すると予想する。
一方、同じくカーボンフリー電源である水力、風力、原子力は補助的な役割にとどまる見通しだ。とくに水力は新たな開発を進める余地が小さく、相対的な伸びしろは風力と原子力のほうが大きい。
カーボンフリー電源の推進と並んで重要な役割を担うのが二酸化炭素(CO2)の回収だ。CICCのレポートによれば、一部の産業では化石由来の原材料や燃料をすべて電力や水素に置き換えることはできない。
このため、中国は2060年時点でも標準炭換算で13億4000万トンの化石エネルギーを消費する可能性がある。そこで鉄鋼、セメント、アルミなどの産業では、CO2の回収技術をメインに排出ゼロを目指すべきだという。
(財新記者:白宇潔)
※原文の配信は3月26日
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