中国の新興車載電池メーカーの蜂巣能源科技(SVOLT)は12月11日、シリーズBの追加ラウンドで総額60億元(約1066億4880万円)の資金調達を完了したと発表した。2021年7月に獲得した102億8000万元(約1827億2494万円)に続く大型の資金調達であり、SVOLTの事業パートナーや投資ファンド、地方政府傘下の国有投資会社などが出資した。
同社の楊紅新CEO(最高経営責任者)によれば、今回調達した資金は新技術の研究開発費と、江蘇省常州市の生産拠点および研究開発センターの建設費用に充当する。SVOLTは車載電池の生産能力の急拡大をもくろんでおり、2025年までに年間600GWh(ギガワット時)を目指している。
その背景には、EV(電気自動車)に代表される「新エネルギー車」の販売急増がある。中国汽車工業協会のデータによれば、2021年1月から11月までに中国国内で販売された新エネルギー車は、前年同期の2.67倍の299万台に上った。
(訳注:新エネルギー車は中国独自の定義で、EV、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)
CATLとBYDは目標値を公表せず
膨張する需要に対応するため、中国の車載電池メーカー各社は生産能力の引き上げを急いでいる。業界3位の中創新航科技(CALB)は2025年の生産能力500GWh、2030年には同1000GWhを目指すと宣言。同4位の国軒高科(ゴーション・ハイテク)は2025年の生産能力300GWhとの目標を明らかにしている。
一方、業界首位の寧徳時代新能源科技(CATL)と同2位の比亜迪(BYD)は、生産能力拡大の目標値を公表していない。CATLの直近の市場シェアは51.4%、BYDは16.6%に上ることから、仮に両社がシェアを維持しながら生産能力を拡大したら、それだけで相当な規模になるはずだ。
ある調査会社の予想によれば、車載電池および(再生可能エネルギー向けの)蓄電システム用電池の出荷量は、2025年には1516GWhに達する見通しだ。ところが前出のSVOLT、中創新航科技、国軒高科の2025年の目標値を足し合わせただけで1400GWhになる。そこにCATLとBYDを加えれば、調査会社の予想値を大幅に超過するのは間違いない。
電池業界のあるベテラン関係者は、車載電池メーカー各社が生産能力の拡大競争を繰り広げた結果、「2025年には(市場の需要に対して)生産能力が過剰になるリスクがある」と警鐘を鳴らす。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は12月12日
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