12月16日、アメリカ財務省は中国のハイテク企業8社を「中国軍産複合体企業」の制裁リストに追加指定した。これにより、アメリカの企業や個人による指定先への投資が禁止される。
8社の具体名は、AI(人工知能)を用いた画像認識技術を手がける曠視科技(メグビー)、依図網絡科技(イートゥ)、雲従科技集団(クラウドウォーク)、ドローン大手の大疆創新科技(DJI)、スーパーコンピューターの曙光信息産業、ビデオ監視システムの東方網力科技(ネット・ポサ)、データセンターやクラウドサービスを手がける立昴技術(レオン・テクノロジー)、サイバーセキュリティサービスの美亜柏科信息(メイヤピコ)となっている。
アメリカ財務省によれば、これら8社は中国の少数民族に対する生体認識技術を利用した個人特定や行動監視に協力しているという。制裁リストへの指定は、そのような行為にアメリカの投資家が(間接的に)荷担しないようにするための措置だとしている。
これに対してメグビー、クラウドウォーク、イートゥの3社は12月17日、アメリカ財務省の指摘は事実無根であるとし、制裁措置に強い反対を表明した。これら3社に同業の商湯智能科技(センスタイム)を加えた4社は、中国ハイテク業界の「AI四小龍」と呼ばれている。
制裁対象になるのは今回が2度目
センスタイムは1週間前の12月10日に制裁リストに指定されており、今回の追加指定でAI四小龍がすべて制裁対象に組み込まれた。その影響により、センスタイムは12月17日に予定していた香港証券取引所でのIPO(新規株式公開)の一時延期を余儀なくされた。
メクビーとクラウドウォークも、上海証券取引所のハイテク企業向け新市場「科創板」への上場準備が最終段階に差しかかっており、同じく影響が避けられないとみられている。メクビーは2021年3月にIPOの目論見書を提出し、9月に事前審査を通過したが、正式な上場申請はまだ行っていない。クラウドウォークはすでに8月に上場を正式申請し、関係機関の認可を待っている段階だ。
AI四小龍がそろってアメリカ政府の制裁対象になるのは、これが2度目である。1度目は2019年10月、アメリカ商務省がアメリカの安全保障や外交政策上の利益に反すると判断した企業等を列挙した「エンティティー・リスト」にセンスタイム、メグビー、イートゥを追加。2020年5月にはクラウドウォークも同リストに加えられ、アメリカ由来の先端技術が使われた製品やソフトウェアの調達を制限されている。
(財新記者:何書静)
※原文の配信は12月17日
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